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M様の羽毛布団リフォーム前

羽毛布団リフォーム|東洋羽毛工業の羽毛が吹き出す布団をリフォーム

先日の羽毛布団リフォーム相談会にお越しくださった志摩市のM様ご夫妻。持ち込まれたのは東洋羽毛工業の羽毛布団でした。(以下東洋羽毛と表現いたします)

M様の記憶によれば、当時15万円ほどで購入されたそうです。

東洋羽毛は我々の業界の中でも少し特殊な存在です。主な販売ルートは学校や病院などの職域販売。要は学校の先生や、病院の医師、看護師さんたちに対して「この布団いかがですか?」と営業するご商売をなさっています。

ですので東洋羽毛の布団を持ち込まれる方は、ほぼ全員が「職場で買いました。」と仰られます。

【お預かりした羽毛布団】
メーカー:東洋羽毛工業
使用年数:10年前後
サイズ:シングルサイズ

側生地:綿45%、ウール55%
キルト:二層タイプ 

冬用:ホワイトグース90% 1300g

M様の羽毛布団リフォーム前 M様の羽毛布団リフォーム前

M様のお話によると「生地が破れているわけではないが、羽毛がたくさん出てきて困っている。カバーを洗濯しようと外すと大変なことになる。」とのことです。

早速拝見しようと布団を広げると、確かにファイバー(羽毛のクズ)が大量に空気中に舞います。

M様の羽毛布団リフォーム前

生地全面から羽毛が出てきています

M様の羽毛布団リフォーム前

「この布団はアレルギーの人でも安心して使えるからと言われて、アレルギーのある娘用に買ったんだけど。。。」

「うーん。。。アレルギーがない人でも流石にこれは厳しいので、ある人にとってはもっとマズイですよね。。。お部屋の中がホコリまみれになりませんか?」

「はい、かなりすごいです。。。」

実はこういったご相談を頂くことはちょくちょくあります。つい先日は京都金桝(キョウトカネマス)の布団、春頃にも昭和西川の布団で同様のご相談を頂きました。

 

なぜ羽毛が吹き出すのか?

原因は主に2つ。

①羽毛の質が悪く、ファイバーやフェザーが大量に混入しているから

②生地のダウンプルーフ加工が不十分だから

羽毛診断

①は羽毛に原因があり、②は生地に原因があります。どちらか一方だけでなく、両方に原因があるケースも多いです。

羽毛にクズやホコリが大量に含まれていると、それが吹き出しの原因になります。一般的に売られている羽毛布団の多くは大体がダックダウンですが、経験上ダックダウンはゴミの混入が顕著です。またグースダウンであっても、実は名ばかりの低級品というケースも少なくなく、その場合もやはりゴミが多いです。特にダウンボールが小さく、未熟な羽毛は劣化も早いので、羽毛がちぎれてさらにゴミが増えます。

羽毛布団用ソフトバティスト生地

一方で羽毛自体には問題がなくとも、生地に問題があって羽毛が吹き出すことがあります。ダウンプルーフ加工が不十分なケースです。

(※ダウンプルーフとは、生地に高熱でプレスをかけて織り目を潰し、羽毛の吹き出しを抑える加工。強めにかけたり、弱めにかけたり、調節も可能。)

ヨーロッパの生地のように意図的にダウンプルーフを弱くかけてあるものや、ごくごく一部の超例外は別として、日本の羽毛布団専用の生地はかなりダウンプルーフが強めにかけられています。

ですから基本的によほどの粗悪羽毛を使わない限り、使ってわずか数年で羽毛が吹き出すということは考えにくいのです。

(※年々ダウンプルーフは弱まっていくので、長年使用した羽毛布団に関しては話が別です)

 

今回の吹き出しの原因は?

大変失礼な話で恐縮ですけれども、個人的に東洋羽毛の羽毛布団は中身の当たり外れが激しいイメージがあります。というのも過去に、こちらのメーカーさんの羽毛布団を何度もリフォームさせて頂いているのですが、中の羽毛を取り出した時に「んん?これどういうこと?」という経験を何度かしているからです。

ですのでM様の布団から羽毛が吹き出している状態を見た時も、「ああ、中の羽毛がボロボロになっているのかもしれないな。」と中の羽毛に原因があるのでは?と予想をしていました。

ところが予想に反して中の羽毛にはそれほど大きな問題はナシ。ピリングと玉ダウンが多く、劣化はしているものの、ファイバーは少なくゴミだらけという感じではありません。

M様の羽毛布団リフォーム前

となると疑わしきは生地です。

実はこちらの生地はウール55%、綿45%というかなり特殊なもの。しかもウールを使っているからめちゃ重い。(←ごめんなさい。重さと吹き出しには直接関係ないです。)

M様の話では「当時新発売の生地ということでオススメされたんです。」ということでした。

どれどれと生地を調べてみると、こちらの生地はダウンプルーフ加工ではなく、ゴアテックスの技術を使うことで羽毛の吹き出しを防いでいる生地ということが判明。

 

ゴアテックスの生地に問題あり

通常の羽毛布団の生地は先述したようにダウンプルーフ加工を施すことで、羽毛の吹き出しを防ぎます。ですがゴアテックスの生地はダウンプルーフはかけません。その代わりに、生地の裏面にゴアメンブレンと言われる薄いフィルムを貼り付けているのです。

このフィルムには非常に小さな穴が無数に空いておりまして、水蒸気は通しても羽毛やホコリは通さないという特徴を備えているため、ダウンプルーフをかけなくても羽毛が吹き出さないというわけです。

西川リビングのロイヤルスターシリーズなどはまさにゴアテックス羽毛布団の代表ですね。

(※快眠屋も重度のハウスダストアレルギーをお持ちの方には、このゴアテックスの羽毛布団を提案することがございます。)

ではなぜ羽毛が吹き出さないはずのゴアテックスの羽毛布団から、羽毛がこんなに大量に吹き出しているのか?

それはゴアメンブレンと言われる肝心のフィルムが生地から剥がれ落ちてしまっていたからです。

おそらくフィルムの接着技術に問題があったのでしょう。いくら羽毛を通さないフィルムも、生地から剥がれ落ちてしまっていたらなんの意味もありません。後からM様からお聞きした話ですが、同時期に同じ布団を購入されたお知り合いの方も羽毛が吹き出しているということでした。

東洋羽毛工業さんの商品に限らず、ゴアテックスの羽毛布団が出回り始めた頃はこういう接着力不足の不良品が結構あったそうです。

寝具は実際に長い間使ってみないことには分からないことも沢山ありますからね。

インターネット上のレビューなども、ほとんどの人は届いて数日、数週間で判断を下しているはずですが、寝具はそうそう買い換えるものではありません。果たして5年後にも同じように星5つが付けられる商品がどれだけあるでしょうか。

また恥を承知で言うと、一度私たちも過去に同じ失敗をしています。それはそもそもダウンプルーフがかかっていなかったという不良品の生地なので全く同じというわけではないのですが、それ以来生地には相当に神経質になっています。(もちろんその布団たちはやり直しをさせて頂きました←当たり前)

 

リフォーム後

M様の羽毛布団リフォーム後 M様の羽毛布団リフォーム後

●取り出し羽毛:1,170g
●プレミアムダウンウォッシュ後:約970g
●補充羽毛:DP420 ホワイトグース93% 300g
●使用した側生地:ソフトサテン(114g/㎡)
●キルト:変形5×6立体
●厚み:冬用約1300g仕上げ

リフォーム総額:52,500円+税

元々は二層タイプのキルトで仕立てられたお布団でしたが、今回は通常の立体キルトで仕上げました。中の羽毛がかなり汗でくたびれていたので、きっとお嬢さんにとっては二層タイプは暖かすぎたのでは?という判断です。

ただ通常の立体キルトとは言っても、いたるところに工夫をしています。マスの場所によって羽毛の量を変えたり、襟元とサイドを細くしたり。些細な違いが10年後の大きな違いになるからです。

補充羽毛については、元々の羽毛よりも一つ下のクラスのDP420以上のグースダウン93%を使用しました。この辺りはご予算に応じて最適な内容をご提案させて頂きます。

M様ありがとうございました!

 

羽毛布団リフォーム