やってはいけないウッドスプリングの調整方法(ミルフィエレメント・ナチュールフレックス)
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なんでもありというわけではない
体型や寝方に合わせて寝心地が調整できるというメリットがあるウッドスプリング。センベラなどの安価なウッドスプリングは調整ができるといっても気休め程度のものにすぎませんが、RELAXのナチュールフレックスやRELAX2000といったハイグレードなウッドスプリングはかなり融通が効きます。またボディドクターナチュラルウッドスプリングやミルフィエレメントもそれなりに調整が可能です。
とはいえなんでもありというわけではありません。今回はそんな話です。
オモテ面のスラット(木板)を連続で抜いてはいけない
横向き寝が多い方や肩幅とウエスト幅の差が大きい方は、横向き寝の際に肩の圧迫が問題になりがちです。また肩が沈まないような硬めのマットレスで寝ていると骨格が歪み、背骨・椎間板への悪影響が懸念されます。
つまり横向き寝においては、個人差はあれど基本的には「肩を沈めて背骨のアライメントを整えると同時に、肩の圧迫を軽減すること」が求められるわけです。
そこでウッドスプリングの調整もこのことを念頭において行っていくわけですが、我々販売サイドにもウッドスプリングのことを理解している人間が少ないということもあり、間違った調整方法を行ってしまうケースが少なくありません。(かくいう我々もまだまだ勉強中の身です)
それが「オモテ面のスラット(木板)を2本以上連続で抜いてしまう」という調整。肩を沈めたいがあまりやってしまいがちな調整ですがこれはご法度です。ナチュールフレックスのRELAX(リラックス)も、エルゴフレックスのProNatura(プロナトゥーラ)も、それ以外のメーカーも口を揃えて「オモテのスラットを2本以上連続で抜くのはやめてね」と言っています。
肩部分のスラットを2本以上抜くと、確かに肩は沈むようになります。
ところがオモテ面のスラットを連続で抜いてしまうとそこの支えが完全になくなってしまいますので、ウッドスプリングのクッション性が失われてしまいます。沈むようになったというより、ハマり込んでいるだけと言った方が正確ですね。
体圧分散性が低下する
肩の圧迫を減らすためにスラットを抜いたはずなのに、体圧分散性が悪くなるとはどういうことか。下の写真をご覧ください。
この写真ではミルフィエレメントの上から9〜10本目のスラットを抜いています。こうなると肩の出っ張りの頂点部分(9〜10本目)は圧迫が緩和するのですが、その代わりに11本目のスラットに体重が集中するハメになってしまうため、この11本目の部分(脇のあたり)の圧迫が非常に強くなって痛みを引き起こすリスクが高まります。
実際には写真のようにマットレスを乗せて使用しますから多少当たりは緩和するのですが、それでも長時間寝ていると負担を感じるようになります。本来なら9〜11本目の3本のスラットで支える(分散する)はずの重みが、11本目の1本のスラットに集中するわけですから当然と言えば当然の話なんですけどね…
仰向き寝の時に背中が垂れる
スラットを抜いた部分は支えがなく、落とし穴の状態です。つまり体重に合わせて適度に反発するというウッドスプリングの効果が全くありません。その結果、仰向き寝に寝ると、背中周りがその周辺よりも不自然に沈んでしまうため、寝姿勢が崩れる可能性が出てきます。連続で抜く本数が増えれば増えるほどリスクが高まります。
横向き寝がメインという方には横向き寝を意識したセッティングを施す必要があるのは事実ですが、そうは言っても一晩中常に横向き寝というわけではありません。横向き寝と仰向き寝のバランスを考慮してウッドスプリングは調整する必要があります。
そもそもウッドスプリングの選択が誤っている
このように極端な調整をしなければならない時点で、そもそもウッドスプリングとマットレスの選択が間違っている可能性が高いように思います。
例えば横向き寝がメインで、肩の圧迫が気になる方や、肩幅とウエスト幅の差が大きい方は、RELAX2000コンフォートショルダーver.がベストです。ナチュールフォームも横向き寝に限定すれば最高なのですが、仰向き寝の時に背中が沈みすぎてしまうのでバランスに欠けます。
予算オーバーという場合は、ナチュールフレックスとミルフィH100ミディアムとの組み合わせをご検討ください。この組み合わせなら随分肩の負担は軽減します。ミルフィエレメントはスラットの厚みが7mmのため反発を感じやすいのですが、ナチュールフレックスには5.5mm厚の薄いスラットがあるのでしなりが優しく身体へのあたりがソフトです。また専用ベッドフレームと組み合わせれば裏面のスラットを抜くことでマイルドに肩の沈みを確保することも可能です。
できれば専門店でのフィッティングを
ご時世的になかなか難しい部分もあるかと思いますが、やはりベストはウッドスプリングの造詣が深い専門店に直接出向き、リアルにフィッティングを受けること。
もちろん当店にお越し頂ければマットレスフィッター®️があなたに最適なウッドスプリングとマットレスをご提案させて頂きます。それが難しいという場合も、電話、メールなどでカウンセリングを行い、最適な組み合わせを提案・販売させていただくということも可能ですので、より良い眠りをお求めの方はお気軽にご相談ください。