羽毛布団リフォーム|羽毛が片寄ってしまった羽毛布団をリフォーム
10年ちょっと前に購入されたという羽毛布団です。
中の羽毛が移動して片寄ってしまうのでなんとかして欲しいというご依頼でした。
上の写真をご覧になって頂くと分かるように、一部分だけが異様に膨れ上がっていて、なんだかとんでもないことになっています。
(羽毛を均等にならすとこんな感じ)
どうしてここまで中の羽毛が片寄ってしまったのでしょうか。
それは特殊な側生地のキルトに原因がありました。
通常羽毛布団は中で羽毛が移動するのを防ぐために、マチ布で仕切りを作ります。このマチ布は表生地と裏生地とミシンで縫い合わせることが一般的です。
しかし今回の羽毛布団はミシンでマチ布を縫い合わせるのではなく、ミシンを使わずに高温のプレスで糊を溶かしてマチ布を生地に接着させる熱融着キルトというタイプのもの。ミシン目がない=針の穴がないので、ホコリやダニの心配がなく安心という触れ込みです。
ノンキルトやナイステッチという名称でかなり昔に流行った布団ですが、昨今ではほとんど見かけることはありません。一部の業者の方々が販売しているくらいでしょうか。
なぜこの特殊キルトは廃れてしまったのか。
それはマチ布をテープや糊で接着しているという性質上、マチ布が生地から剥がれやすく、布団の内部で羽毛が大幅に片寄ってしまうという致命的な欠点があったからです。
今回お預かりした羽毛布団もまさにそのケースでした。
寝返りをうったり、布団を蹴飛ばしたり、引っ張ったりなどなど、知らず知らずの内に羽毛布団には大きなストレスがかかっているものです。ミシンの場合はマチ布がはがれるリスクはそれほどありませんが、糊やテープではそのストレスに耐えられなかったというわけです。
いくらホコリが出にくいとはいえ、マチ布がはがれてしまってはまともに使うことはできません。。。
そのリスクを承知で購入される分には良いと思いますが、ほとんどの方はメリットだけを説明されて購入しているわけですから、『ああ、あくどいことやっとるなぁ。。。』と情けない限りですね。
さてお預かりしたダブルサイズの布団から取り出せた羽毛は1730g 、プレミアムダウンウォッシュ後に残った羽毛は1510gでした。
元々のボリューム感に戻していきたいというご要望でしたので、ここにDPダウンパワー420のホワイトグースダウン93%を400g 補充し、約1900g で仕上げ。羽毛の傷みを考慮して元量より少し多めの充填です。
マス目を細かくすると肌沿いが良くなる反面、空気≒暖かさが逃げやすくなりますので、キルティングは5×6マスの立体キルトです。1900g と多めの充填量ということもあり、マチ高は8cmと高めに仕上げました。
生地は定番のバティストです。
またこちらのお客様にはFITLABOフィットラボのウェーブΣレギュラー敷き布団も同時にお買い上げ頂きました。『今年は旅行に行かなかったから、その浮いた分で寝具を見直そうか』とはご主人の談。蓋し英断です。(生意気な物言いでスミマセン)
日中の疲労軽減と寝具には密接な関係があることが分かっています。運動、食事、睡眠。どれが欠けてもいけません。僕は快眠屋の回し者ですから堂々と主張しますが、海外旅行一回分で10年間疲労を軽減してくれる寝具が買えるなら決して高くはないと思いますヨ。
H様ありがとうございました( ´ ▽ ` )