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「体重が重い人ほど硬い敷布団・マットレスが良い」は間違い

ここのところ毎日大型寝具の納品が続きます。

昨日は松阪市の飯南町のお客様の元に寝具一式と、同じく松阪市のお客様の元にベッドマットレスをお届けしてまいりました。

飯南町のお客様は50代の男性です。「主人が身体が痛いというので、何か良い敷き布団はありませんか?」と奥様がご主人を連れてきてくださいました。

ご主人は体重が100kgを越える体格の良い方です。無呼吸症候群を患っておられ、その対策としてCPAP(シーパップ)を装着しておやすみになっておられます。

現在はご結婚された時に購入された木綿わたの敷布団を使用しており、横向き寝がほとんどということでした。敷布団は20年以上同じものを使用されているということですので、おそらく完全にペッタンコ(失礼な表現ですいません。。。)になってしまっているはず。

木綿わたの敷布団の寿命は3〜5年です。これは数日おきに天日干しや布団乾燥機にかけて、しっかりお手入れをしてもらっての平均寿命です。体重が重い人が使用していたり、ほとんど干せていないという場合はさらに寿命が短くなります。

寿命を越えた敷布団はクッション性を失うので、体圧を分散することができません。

体圧が分散できない→身体が圧迫されてしまう→血流が悪くなる→痛みやコリなど諸々のトラブルを引き起こす

このようなことを説明させて頂くと「確かに布団と接触しとる部分が痛いわ。。。」とご主人も合点がいった様子でした。

では100kg以上あるご主人が横向きに寝ても身体が圧迫されにくい敷布団とは何か?

こんな時に多くの寝具専門店では、ムアツスリープスパならスーパーハードタイプ、Airならハードタイプ、整圧ふとんならスーパーデラックスタイプ、フィットラボならシグマハードというように、硬めの敷布団を勧められると思います。(これらは全て表面が卵型のように凸凹しており、点で支えることがウリの敷布団。各メーカーが力を入れている商品。)


というのも寝具業界の中では「体重が重い人は硬めの敷布団に寝るのが良い」というのが通説になっているからです。

しかし、ちょっと待った!!と言いたい。

そんな短絡的な発想で良いのかと問いたい。

確かに重い人が下手に柔らかい敷布団に寝ると、身体の中で最も重いお尻が沈みすぎてしまい、寝姿勢が崩れる可能性が高い。フカフカの新品の木綿布団や、低密度でスカスカのウレタン敷布団、低反発の敷布団などがこれにあたる。

寝姿勢が崩れると背骨への負担が増すから、このような敷布団は好ましくないということになる。

また柔らかい上に厚みが薄いと、敷布団が身体の重みで完全につぶれてしまい底つき感が出てしまう。

「底つき感がある≒床の上で寝ている状態に近い」ということだから、これでは敷布団を使う意味がない。

そのため、体重が重い人に対しては、お尻が沈み込まないようにニュートン値が高い(140ニュートン以上)≒硬めの敷布団を国内大手寝具メーカーは推奨してきたという経緯がある。

ところがそこに落とし穴があると僕は指摘したい。

どういうことか?

それは体重がある人ほど横たわった時の身体の圧迫は強くなるという事実を見逃してしまっているということ。

考えてみれば当たり前の話だが、体重が軽い人に比べて重い人の方が敷布団にかかる重みが大きい。となればその分、身体にかかる圧力も大きくなる。そして体圧が大きくなればなるほど身体への負担は増す。これはつまり、体重が重い人ほど体圧分散性に優れた敷布団を使用しないといけないということを意味している。

これはベッドマットレスにも言えることだ。当店にいらっしゃる重量級のお客様の中には、「店員さんのすすめるがままに硬めのマットレスを買ったものの身体が痛い」という経験をしている方は少なくない。
このように沈み込みを恐れるあまり、安易に硬めのマットレスをすすめるというのでは100点満点とは到底言えないのである。

最善は、体圧を分散するソフトな敷布団でありながら、なおかつ姿勢が崩れないようなもの。さらに厚みが15cm以上あればより望ましい。

特に今回のお客様のようにBMIが30後半かつ横向き寝が多いという場合は尚更である。

そこで私共が提案させて頂いたのは、ミルフィエレメントというウッドスプリングを畳に敷き、その上にミルフィ10cm厚というラテックスマットレスを乗せて使用する組み合わせでした。

トータルで厚みが20cm前後になるので普通の敷布団にしては規格外に分厚いのですが、ご主人の体型を考えるとやはりこの程度の厚みは必要なのです。

 


ミルフィエレメントの詳細はこちら

当初は簡単にたためるものが良いということでしたので、三つ折りタイプのウレタン敷布団(シグマハード)もご提案させて頂きましたが、案の定ご主人は「うーん。。。」と特に感動なし。やっぱりそうですよね。体圧分散性が低すぎてご主人の体重を受け流すことができないんですよね。

次にミルフィ10cmとミルフィエレメントの組み合わせで寝て頂くと、「全然違う。お前(奥様)も寝てみ。」とその寝心地の違いに大変驚かれ、取り扱いの不便さはあっても快適さには代えられないということで、最終的この組み合わせを選ばれました。もちろんミルフィエレメントは、ご主人が寝ても寝姿勢が崩れないように特別な調整をしました。(←ここが大事。これがないと寝姿勢は崩れてしまう。)

他にも枕をオーダーメイドで新たにお作りさせて頂いたり、ご主人用の掛布団を新調させて頂いたりと最終的には寝具一式をご用意させて頂くことになりました。


掛布団は暑がりで汗っかきというご主人の体質と、オイルヒーターで寝室自体が暖かいということで、保温力よりも通気性と吸湿性を重視したものに。

写真の左は「キャメルインナーケット」、右は「クラス2羽毛布団|白翎」の保温力2です。カバーはダブルガーゼで、表と裏で色が違うリバーシブルタイプ。羽毛布団だけはセミダブルサイズでお仕立てしました。

きっと新しい睡眠環境で心地よくおやすみいただけると思います。

もう一人の松阪市の方にも触れたいところだったのですが、途中があまりにも長くなってしまったのでまたの機会に。

皆様ありがとうございました。