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【羽毛布団事例】使う人に合わせて軽さ、保温力、柔らかさを選ぶ


ドイツの寝具専門店の羽毛布団売り場に行くと、羽毛布団の保温力が事細かに分かれており、消費者の方は羽毛や生地の質だけでなく、自分に適した暖かさレベルによっても布団を選ぶことができるようになっています。
モノを買う基準に『商品の良し悪し』だけでなく『自分に合うかどうか』が加わるわけですから、快適な眠りを求めている人にとっては歓迎すべきことでしょう。
ところが日本の場合はまだ小売店がこのような提案ができるレベルに達していないため、とにかく羽毛の質や生地の良し悪しだけで商品の差別化を図っているのが現状です。
「体質や室温によって求められる保温力が〜〜〜」と小難しい説明をするよりも、「見てくださいよこの布団!ポーランドのグースダウンが入っているからめちゃくちゃボリュームが出てるでしょ?生地も柔らかいですよ〜。」と説明をした方が販売効率が良く、高額商品を販売しやすいというのは理解できますが、そんなことをやっていては我々の業界はさらに先細っていく一方だとも思うのですよ。
ダウン率のように品質に関する細かい数値基準は日本の方が精度が高く、優れているのですが、根本的な考え方については欧州に見習うべきことが多いのではないかと思います。
商品を選ぶ軸に、『モノの良し悪し』だけでなく『自分に合っているかどうか』という基準が加わるのはプラスにはなり得てもマイナスに働くことはないと思うんですけどね。。。
 
ケース1 二人の息子さんたち用に
10代の息子さんたちが使う羽毛布団をというご相談でした。
日本で一般的に世間で販売されている羽毛布団は、代謝の高い男性にとっては保温力が高すぎる=暑すぎることがほとんどです。
そこで今回は保温レベル3の羽毛布団をご提案させて頂きました。

使用した羽毛と生地は以下の通り。
羽毛:ポーランド産ホワイトコウダグース93%
   DP420以上
   900g
生地:バティスト生地 94g/㎡
   綿100%
キルト:5×6マス マチ高7cm
これはクラス3|ポーランドの保温力3に該当します。
快眠屋の羽毛布団は保温力が1〜5の五段階に分かれていますが、ちょうど中間のボリューム≒暖かさです。代謝の高い男性がこれよりも暖かい布団を使うと、汗をたくさんかいてしまい不快感に襲われますし、布団自体の傷みも早くなります。
また少し保温力を控えめにしておくことで、晩秋や初春も使えるようになりますので、より実用的な布団に。
T様いつもいつもありがとうございます( ´ ▽ ` )
 
ケース2 長身かつ冷え性の女性に220cm丈の布団を
きっかけは30年ほど前の羽毛布団をリフォームすることはできないか?というご相談でした。
その当時の羽毛布団ですと、羽毛布団ではなく羽根布団に属するお布団だったり、羽毛布団ではあってもダウン率が70%前後ということがしばしばあるんです。。。
非常に申し上げにくいことに、お客様が持ち込んでくださった羽毛布団もまさにそのケースで、リフォームをするにはかなり厳しい状態。。。
実際に羽毛を抜き取って状態をご覧になってもらうと、すぐに事情は飲み込んでいただけたようで、今回はリフォームはせずに、買い替えをご検討いただくことになりました。
さて、こちらのお客様のご要望としては、『軽くて』『暖かくて』『蒸れない』布団が良いとのこと。
軽さと蒸れにくさを追求するなら、高い通気性を誇るドイツ製のスーパーソフトバティスト生地や、綿100%では日本最軽量のソフトバティスト生地ということになります。
暖かさに関しては、ダウンボールが大きい羽毛ほど少量でもたっぷりと空気を含み、断熱性に優れますので、DP440以上のグースダウンが良いでしょう。それもアイダーダックダウンに近い性質をもつステッキーダウンなら言うことなしです。
ということでスーパーソフトバティストや、ソフトバティストを使った羽毛布団を実際にかけ比べてもらいました。しかしこちらのお客様は音に非常に敏感ということもあり、スーパーソフトの方はそれほど気にならないが、ソフトだとバティスト生地特有のハリハリ感がどうしても気になってしまうとのこと。
そこで次はスーパーソフトサテンを使用した生地を使った羽毛布団を試してもらいました。
『これなら音は気になりませんね。重さもさっきよりは重いですけど、それでもこれまで使っていたものよりは軽いです。』
好感触です。
その後もサイズのことや、カシミヤ毛布との併用の話など色々と相談をしながら、最終的には以下の羽毛布団をご用意させて頂くことに。

 
羽毛:白翎手選別ステッキーマザーグース95%
   DP440以上
   1100g
生地:スーパーソフトサテン生地 99g/㎡
   綿100%
キルト:オリジナルⅡ マチ高8cm
クラス1|白翎の生地違いで、保温力は4〜5となります。
またツインキルトやデュアルキルトと言われる二層式キルトにすれば保温力はさらに向上しますが、二層式は空気の循環が上手くいかず蒸れやすくなってしまうので却下。
その代わり厳冬期はマラゾットの超軽量カシミヤ混毛布を羽毛布団と併用して頂きます。羽毛布団よりも吸湿性の高いカシミヤ毛布と併用することで、寝床内の湿度の上昇を防ぐことが狙いです。
バランスの取れた良い寝床になるでしょう。
T様ありがとうございます( ´ ▽ ` )