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ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前

三重県伊勢市の方から「ふとんのタナカ」の羽毛ふとんリフォーム

2016年と2017年にも羽毛布団のリフォームをさせて頂いているS様。今回はまた別の羽毛布団の件でリフォームのご相談を頂きました。

いつもいつも当店をご贔屓にしていただき、本当にありがとうございます。

(遠方のお客様はこちらをご覧ください)

遠方のお客様へ|羽毛布団リフォームの流れ

 

ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前 ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前

さて今回S様が持ち込まれた羽毛布団はジュニアサイズが1枚、シングルサイズが1枚の計2枚。

どちらも大手寝具チェーンの「ふとんのタナカ」さんで購入されたものです。

S様のご希望を要約すると「前にリフォームをしてもらった布団と比べると、生地がポリエステルだからか掛け心地があまり良くない。もし中の羽毛に再利用する価値があるなら、綿100%の生地を使ってリフォームして欲しい。」というもの。

(2016年と2017年に承ったリフォームでは綿100%の軽量生地を使って仕上げさせて頂いております)

 

<1枚目:ふとんのタナカさんのジュニア羽毛ふとん>

ではまず先にジュニアサイズの羽毛布団から状態をチェックしていきましょう。

ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前 ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前 ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前

[ スペック ]

・サイズ:135×185cm

・側生地:ポリエステル100%

・詰め物:フランス産ホワイトダックダウン85%、フェザー15%

・詰め物量:800g

ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前

大変失礼な言い方で恐縮ですが、S様ご自身も安物だったと仰られているように、羽毛としての品質は正直良くありません。。。フランス産だろうと何だろうと良くないものは良くない。。。

また側生地の素材がポリエステル100%。

ポリエステルの生地はビニールのようにほとんど通気性がありませんので、代謝が高くて汗っかきの子供が使うにはかなり問題があります。使い心地が悪いというのは、この辺りに問題がありそうです。

ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前 ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前

布団から羽毛を取り出してチェックしてみると、予想通りと言いますかダウン自体がかなり小粒で、ファイバーが沢山含まれています。。。(残念ながらファイバーは百害あって一利なし)

ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前ファイバーとは羽毛が千切れてできる塵、ゴミのこと

ちなみに飼育期間の短い水鳥から採取した羽毛はやせ細っていて、千切れやすく、そして脆いので、羽毛がファイバー化しやすいというデメリットがあります。

また水鳥の身体から羽毛を採取する時に、手作業(ハンドピック)でなく機械で羽毛をむしると(マシンピック)、その時点で既に羽毛が傷むのでファイバーが増える原因になります。

資料:羽毛布団リフォーム工程

リフォームの工程に、ファイバー抜きという作業があります。小さな穴の空いた筒状の金網の中に羽毛を入れて、この筒をぐるぐる回しながら風のチカラでファイバーを吸い出します。

資料:羽毛布団リフォーム工程金網から落ちたファイバーたち

この作業を繰り返すことで、ある程度ファイバーを取り除くことはできるのですが、そうは言っても限界があります。

また先述したようにファイバーが多い羽毛はそもそもの質が悪いことがほとんどですので、このジュニアサイズの布団にリフォームをする価値があるかというとちょっと厳しい。。。

 

<2枚目:ふとんのタナカさんのシングルサイズの羽毛ふとん>

次にシングルロングサイズの羽毛布団を見ていきます。

ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前 ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前 ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前

[ スペック ]

・サイズ:150×210cm

・側生地:ポリエステル85%、綿15%

・詰め物:ダウン93%、フェザー7%

・詰め物量:1200g

こちらはふとんのタナカさんが西川リビング(現:西川株式会社)に作ってもらっているオリジナル商品ですね。

ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前

品質表示のタグから察するに、こちらの布団は羽毛そのものは悪くなさそうです。ただ側生地がポリエステル85%……。

このような羽毛と生地の質がアンバランスな布団を見かける度に、個人的にはとても勿体無いなぁと思います。まだ先ほどのダック85%、ポリエステル100%のジュニア布団の方がよっぽど筋が通っている。グース93%の羽毛を使うならせめて生地は80番手の綿100%クラスを使いましょうよ。

「お前に何が分かる!(もののけ姫)」と言われればそれまでですが、きっと水鳥も自分の力を引き出してくれる使い方をされた方が嬉しいはずですよ。

ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前 ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム前

中の羽毛をチェックするとあまり使っておられなかったということで、ファイバーは少なめ。元々の質を考慮しても、十分活用できるレベルでございました。こちらの羽毛でしたらリフォームする価値アリ!

資料:羽毛布団リフォーム診断

このような説明をさせて頂きましたところ、ご相談の結果今回は冬用のシングルサイズ1枚を、今の時期に使えるやや薄手の布団2枚にリフォームすることになりました。

冬用の分厚い布団は持っていても、春秋の中途半端な季節に使う布団は持っていないという方も多いので、冬用の布団が余っているという場合はこういうリフォームもオススメですよ。

 

< リフォーム後 >

ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム後 ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム後 ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム後

取り出し羽毛量:約1140g

洗浄・除塵後:約900g (−240g)

補充羽毛量:400g (中国産グースダウン90%)

仕上げ量:1枚あたり650g (計1300g)

キルト:5×7マス立体

側生地:バティスト生地

合計金額(2枚分):73,000円+税

 

ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム後 ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム後 ふとんのタナカ羽毛ふとんリフォーム後

羽毛布団にとって最も重要な生地は、前回、前々回にも使用させていただいた綿100%の軽量生地です。サテンではなく、平織りなので最初はハリハリと硬さが有ります。(同じ平織りでもソフトバティストともなると硬さはほとんど気になりません)

ただ1シーズンも使ってもらうと生地がこなれて、かなりいい感じにフワフワと柔らかくなってくれますので、最初の硬さを我慢できる方にはオススメです。

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洗浄後に残った900gに新羽毛を400g補充して、その合わせた1300gをちょうど半分ずつ(650g仕上げ)にしました。当店の基準でいくと大体保温力●●●○○○くらいの厚みです。(上の写真をご参考になさってください)

生地が綿100%の軽量タイプになったことと、厚みが薄くなったことで、非常に快適にお使いいただけるはずです。

S様、いつもありがとうございます( ^∀^)

 

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