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羽毛布団事例[明和町S様]新生活の準備でお若いご夫婦から羽毛布団のご相談

みなさん、こんばんわ。快眠屋おのの植村浩太朗です。

先日、カビとダニのことが気になるなら6〜9月は基本的に窓を開けてはいけないという内容のブログを書きました。この時期は外気に大量の水蒸気が含まれているので、換気のために良かれと思って窓を開けるとかえってジメジメとした空気が室内に入り込むことになり、室内の相対湿度が70〜90%になってしまうからです。(カビは相対湿度60%以上、ダニは65%以上で繁殖しやすくなります)

詳しくは下記リンク先からどうぞ。

ところが昨日から全国的に状況が急変。一気に湿気が少なくなり、時間帯によって違いはあるものの絶対湿度は13〜15g/㎥前後になりました。それまでは20〜23g/㎥でしたから本当に劇的な変化です。絶対湿度が13g/㎥で室温を26℃に設定すると相対湿度は53%前後。これならカビ・ダニのリスクもありませんし、人間にとっても大変快適な環境になります。

迂闊に窓を開け続けていると湿気を取り込み過ぎてしまう可能性はまだありますが、湿度管理が楽な季節になってきたのは間違いありませんね。よかったよかった。

スペックは羽毛布団選びの本質ではない

ロマンス小杉マザーグース羽毛布団リフォーム後

さて今回の本題です。

9月に入って徐々に羽毛布団のご相談が増えてまいりました。

本日ご来店頂いたのは新婚のご夫妻(S様)と付き添い兼スポンサーのご両親です。この9月から一緒に住み始められたそうで、冬に使用する羽毛布団のご相談でした。ありがとうございます。

一般的には「家電量販店で家電を買うのと同じように、売り場にディスプレイされている羽毛布団を見比べて何となく良さそうなものを買う」のが普通かと思いますが、当店の場合、まずはテーブルに着いて頂き、話をお伺いするところからスタートします。

なぜか。

それは「どんな体質の方」が「どんな住まい」で「どの時期」に使うのかが分からなければ、快適な羽毛布団をご提案することができないからです。

西川産業のマザーグース羽毛布団

これもまた一般論で恐縮ですが、羽毛布団の売り場に行くと大抵の場合「この羽毛布団は◯◯産の◯◯の羽毛を使っていて〜〜〜」だとか「この羽毛布団はキルトが細かくて身体にフィットしやすくて〜〜〜」という商品の説明を受けます。羽毛布団に関する知識が乏しい方にとっては有益な部分もあるかとは思いますが、これは本質的な話ではありません。

むしろこういった説明を最初に受けることで本来の目的を見失ってしまうことにもなりかねない、、、という心配すらあります。

といいますのも、こういった産地やダウンパワーといった表面上のスペックの説明を受けているうちに、羽毛布団を購入する目的が「快適に眠ること」から、いつの間にか「ハイスペックな羽毛布団を買うこと」に変わってしまうケースが多々あるからです。

プレミアムバティスト

快適な掛け心地を追い求めていくと上質な素材が必要になってくるのは事実ですが、それよりも「羽毛布団の厚み=暖かさ」が自分の体質や住環境、使用時期にマッチしていることの方がよほど重要です。

ここを見落としたまま「むむ!こっちの方がダウンパワーが10高いのに1万円安いぞ!」「やっぱり中国よりハンガリーかなぁ〜」とばかりやっていても中々快適な羽毛布団には出会えません。

<変な例え話> 仮に包丁を専門店に買いに行ったとしましょう。恐らく店員さんは最初にその包丁の主な用途を聞いてくれるはずです。どんな包丁をお探しですか?三徳ですか?ペティナイフですか?出刃ですか?というように。少なくとも最初に「この包丁は青紙スーパーで〜〜〜」と素材の話を延々と聞かされることはないでしょう。最高級の素材を使っていようと大きい魚を捌きたいと考えている人にペティナイフを紹介しても意味がないからです。

しかし羽毛布団の世界ではこれがスタンダードです。本来なら体質や住環境に応じて最適な厚みが違うことを説明し、その上で素材云々の話をするのが筋ですが、売り手側は高級な羽毛布団を売ることが目的になっているので、大事な厚みの話をすっ飛ばしていきなり素材云々の話をしてしまうというわけです。(あるいは羽毛布団に関する知識が全くなく、高級なもの程よく眠れると勘違いしている可能性もあります)

羽毛布団の暖かさは主に厚みで決まる

羽毛布団の厚み

羽毛布団の暖かさは、主に厚み(蓄えられる空気の量)で決まります。

キルトの影響もありますが、どれだけキルトを工夫しても、極薄の羽毛布団を暖かくするには限界がありますし、その逆も然りです。基本は厚みだとお考えください。

そして我々が考える快適な羽毛布団とは「ストレスのないちょうど良い暖かさ」を実現してくれる羽毛布団のことです。(その上で蒸れない暖かさを実現できるとベストです)

暖か過ぎて汗をかいてもいけませんし、寒くてなかなか寝付けなかったり、夜中に目が覚めるようでは意味がありません。

自分にとってちょうどいい厚みの羽毛布団を選ぶことが何よりも大切で、当店の羽毛布団が保温力1〜6の6段階の厚みに分かれているのはまさにそのためです。

羽毛布団の厚みは体質・住環境・季節の総合バランスで決まる

羽毛布団の厚み・保温力

ではちょうどいい厚みはどのように決めればいいのか。

当店では「どんな体質の方が、いつ、どんな住まいで使うのか」の3つのバランスを考慮して厚みを決めています。

例えば「暑がりの方が、冬に、築浅のタワーマンションで使う」となった場合は保温力3をベースに考え、「寒がりの方が、冬に、無断熱の戸建て住宅で使う」となった場合は保温力6をベースに考え、そこから微調整をするといった方法です。

尚、リフォームや、リフォーム相談からの買い替えの場合はそれまでお使いだった羽毛布団を参考にしながら厚みを決定します。

今回のS様は

◆体質 奥様は寒がり、ご主人はかなりの暑がり
◆時期 冬場の使用をメインにしつつ春秋も考慮

◆住まい 木造アパートで寝室は南向き(日射取得ありとのこと)
備考:奥様は毛布を絶対に使いたい

という状況でしたので、色々と悩んで相談しての結果、奥様は保温力4、ご主人は保温力3で仕上げることになりました。

1枚の羽毛布団(厚み)でオールシーズン快適に眠るのは困難

話が少し横に逸れますが、中には「うちの羽毛布団は冬も夏も快適ですよ」と説明している販売員さんもいらっしゃるようです。これは悪質なセールストークです。研修で会社からそのように洗脳されていて、本人に悪意は無かったとしても、結果的に間違った説明をしているわけですから消費者にとってマイナスなことに変わりはありません。この言葉を信じて冬用の羽毛布団を一年を通して強引に使ったことで、寿命を大幅に縮めることになってしまった布団をこれまで何十枚と見てきました。。。

一年中快適と言いながら、春秋用や夏用の羽毛布団も平気で売っているんだから意味が分かりませんね。本当に一年を通して快適なら1枚の厚みで勝負すべきでしょう。

1年を通して温度と湿度が一定に保たれている住まいであれば1枚の羽毛布団でオールシーズン快適に使える可能性はありますが、それは羽毛布団のおかげではなく、住まいのおかげです。恐らくこのような住まいは全体の1%もないはず。

一般的な戸建て住宅の場合は、夏と冬で室温が20℃近く違うことも珍しくありませんし、春秋と冬でも10℃近く違います。さらに言うと、もし仮に夏と冬で室温が全く同じでも、天井や床、壁の表面温度が違うので実際の体感温度は異なります。

いくら上質な羽毛と生地を使っていようが、この温度差をカバーできるだけの調整力はありませんので、快適さを追求する場合はそれぞれの季節に応じた厚みの羽毛布団を持っておくのが理想です。

とはいえそれだけの枚数を揃えようと思うと、お金もかかるし、収納場所も取る。。。ジレンマですね。。。

上記の理由から、1枚の羽毛布団でオールシーズン対応というのは現実的にかなり困難ですが、掛布団カバーの素材を変えたり、ブランケットを併用したりといった方法で、できるだけ長いシーズンに対応できるような提案もさせて頂きますのでぜひお気軽にご相談ください。

厚みの次は生地、羽毛の順で重要

プレミアムバティスト

厚みが決まったので、次に生地と羽毛を決めていきます。どちらかというと生地の方が掛け心地に影響してくるので、予算が限られている場合は生地にお金をかけて羽毛のグレードを下げることをオススメします。(もちろんどちらも良いものを選べるならそれに越したことはありません)

ただ厄介なのは、羽毛の場合はお金さえ出せばパーフェクトなものが手に入りますが、生地に関してはそうはいかないところです。

織組織の構造的に何かを優先すると他の何かが必ず犠牲になるので、

・軽さ
・通気性
・しなやかさ
・耐久性
・羽毛の吹き出しにくさ

これらの優先順位によって最適な生地が変わってまいります。

例えば当店では、ご予算が許す場合は全体的にバランスの良いドイツ製の平織生地(プレミアムバティスト)を使うことが多いのですが、平織の生地はしなやかさと耐久性においてはサテン織には勝てません。軽さや通気性よりもしなやかさと耐久性を優先したいという場合はサテン織の生地を使うこともあります。

今回はそれぞれの意向を汲んだ結果、奥様は日本製のソフトサテン、ご主人はドイツ製のプレミアムサテンを選んで頂きました。いずれもサテン織の生地ですが、奥様はやや重めのしっかり感を求めてソフトサテンを、ご主人はサテンの中でもできるだけ通気性が高く、軽量なものをということでプレミアムサテンです。

中国レギュラーグース93%

また組み合わせる羽毛はご予算との兼ね合いでコストパフォーマンスの高い中国産のレギュラーグース93%をお選び頂きました。下手なハンガリーやポーランドの羽毛を使うよりもよほど質は上です。

コットンサテン掛布団カバー
コットンサテン掛布団カバー

尚、せっかく生地にこだわってもカバーが良くないとダメなので(語彙力)、コットンサテンの掛布団カバーも一緒にご注文頂きました。

これから仕立てに入りますのでお届けまでにもうしばらくお時間を頂戴しますが、仕上がりを楽しみにお待ちくださいね。

とはいえ最低限のクオリティは必要

大塚家具ダウナリフォーム前

羽毛布団はスペック競争ではないとお伝えしましたが、そうは言いながらもやはり質の良い素材を使うに越したことはありません。

安価な羽毛はダウンファイバー(羽毛のクズ)が大量に混入しているので、生地の通気性を一定以上確保しようと思うと吹き出しの問題が発生します。そしてこのような羽毛はボロボロに千切れやすいので寿命が短い上に、経年劣化でさらに吹き出しリスクが高まります。

またポリエステル100%やポリエステル65%綿35%といったポリエステルを使用した生地は、安価でそれなりに柔らかくて軽いというメリットがある一方で、通気性が極めて低いという問題があります。羽毛布団の役割は適度な保温と、汗や水蒸気をスムーズに吸収して寝床内の湿度をコントロールすることですから、通気性の低い生地を使用するとこの処理がうまくいかず、蒸れる不快な羽毛布団に仕上がります。

この記事では「素材やスペック一辺倒になると大切なことを見落としてしまうよ」ということをお伝えしたいのであって「上質な素材を使うことが無意味」と言いたいわけではありません。何卒ご理解下さいますようお願いいたします。

[追記]実際にお仕立てした羽毛布団

羽毛布団リフォームバナー

最近はインスタグラムの投稿が多めです。ブログほど濃い内容ではありませんが、フォローして頂けると喜びます。

また先日羽毛布団リフォームに特化したインスタグラムアカウントを解説しました。そちらもご覧いただけますと幸いです。