羽毛布団リフォーム事例[三重県津市T様]35年前にお父様が買ってくれたハンガリー製の婚礼羽毛布団をリフォーム(ダブル1枚→ダブル1枚)
快眠屋では三重県内はもちろん、県外のお客様からも羽毛布団リフォームのご相談を多く頂戴しております。遠方にお住まいの方でも安心してリフォームのご依頼を頂けるように写真や動画を交えて1枚1枚丁寧に現状説明をさせて頂いております。布団を直接持ち込めないというお客様もお気軽に電話、LINE、メールでご相談下さい。
※遠方にお住まいで羽毛布団のリフォームをお考えの方はこちらのページをご覧ください。
目次
リフォームのきっかけは保温性の低下
三重県津市のお客様(T様)から羽毛布団リフォームのご相談を頂戴しました。ありがとうございます。
ご相談の羽毛布団はT様がご結婚された時にお父様が「これはよいものだよ」と買ってくれたもので、35年ほどご使用になっているそうです。
快適に使っていたものの、ここ最近は保温性が低下し、毛布タイプの掛布団カバーと併用しないと寒く感じるようになってきたということでした。
リフォーム前
[サイズ]190×210cm
[側生地]綿100%(平織)
[キルト]5×6マス立体キルト
[羽毛]不明(推定グースダウン93〜95%)
[充填量]不明
ハンガリー製の羽毛布団ということで、日本ではあまり馴染みのない「平織(ひらおり)」の生地が使われていました。日本ではサテン(朱子織)が一般的ですが、欧州では過去も今も平織が主流です。
同じ綿100%の生地でも糸の太さが違うと生地の仕上がりが変わってくるのですが、この織り方の違いも生地の仕上がりに大きな影響を与えます。
簡単に言うと、軽さ優先なら平織が有利で、しなやかさ優先ならサテンが有利です。生地によっては逆転現象が起こることもありますが、同グレード同士で比べるとこの有利・不利が覆ることは基本的にありません。
これまでサテン系のしなやかさに長けた生地を使っていた人が何も知らずに平織の生地を使ってリフォームを依頼してしまうと「なんかこのリフォームした布団硬くない?」となってしまうし、その逆に平織を使っていた人がサテン系の生地を選ぶと「この布団重くない?」となってしまいます。
羽毛布団の掛け心地が主に生地で決まる以上、このあたりを適当にリフォームしてしまうと「リフォームなんてしなきゃ良かった」ともなりかねませんので注意が必要ですね。
また実は今回T様が持ち込んでくださった羽毛布団は2枚ありました。1枚は上の写真の厚手タイプ、もう1枚は夏用の薄手タイプです。
「この2枚の羽毛布団を1枚にまとめるようにリフォームをする方が良いのか迷っている」ということで、それぞれの状態を確認させて頂いたのですが、薄手の布団は羽毛の損傷が激しかったため、今回は厚手のタイプだけを使うことにしました。
2枚を1枚にまとめたり、3枚から2枚にしたりなど、当店ではどんなリフォームにも対応ができますが、本当にそうするのがベストかどうかはケースバイケースです。
・どんな羽毛布団に仕上げたいのか?
・元々の羽毛の傷みは?
・新しい羽毛を補充する場合との差額は?
によって最適解は変わってきますので、まずはお気軽にご相談ください。
羽毛の状態を確認
長年ご使用になっておられますので当然羽毛の傷み、劣化はあります。
具体的には汗や皮脂が羽毛に浸透し、ダウンボールがダマのように固まっています。またダウンボールが摩擦や衝撃で千切れて、ファイバー化(粉末化)も進んでいます。
しかしながらT様が丁寧に使われていたことと、元々の羽毛のクオリティが大変良いということもあり、致命的な劣化ではありません。むしろ35年の使用と考えると驚きの状態です。
洗浄・除塵結果
【取り出し羽毛量】
◆ 約1280g
T様の羽毛布団を解体して取り出せた羽毛はおよそ1280gでした。布団内部の生地やマチ布にこびりついた羽毛は取り出すことができないので、実際には1300g前後の羽毛が入っていたのではないかと思われます。
品質表示が布団についていなかったので羽毛の充填量は事前には分からなかったのですが、欧州製の羽毛布団ということでおそらく日本よりも中身は少なめだろうと予想していたのが当たった形です。(日本だとダブルサイズなら1600〜1800gが一般的)
【洗浄・除塵後の羽毛量】
◆ 約950g
そしてプレミアムダウンウォッシュ(洗浄・除塵)後の羽毛量はおよそ950gとなりました。約25%減ですね。羽毛の状態を考慮すると妥当なところかなと。
リフォーム後
- [サイズ]190×210cm
- [キルト]5×6マス立体(マチ6cm)
- [充填量]1300g (このうち補充羽毛350g)
- [生地]バティスト
こちらがリフォーム後です。
サイズはリフォーム前と同じダブルサイズ(190×210cm)です。
肝心の側生地は、T様とご相談の結果、これまで使われていた生地と同じ平織のバティストを使っています。ただ同じ平織でも今回使用したバティストの方が元の生地よりも糸が細いので、さらに軽く仕上がっています。
生地が軽いと羽毛が膨らみやすくなるので、リフォームのように羽毛がパワーダウンしているケースではその羽毛のパワーダウンを補うことができます。逆に60番手のサテンを使うと生地が非常に重いので羽毛がつぶれてしまい、布団の膨らみが出にくくなります。
350gの補充羽毛はポーランド・プレミアムマザーグース95%を使用しました。非常に質の良い羽毛です。
羽毛は同じダウン率、同じダウンパワーでも実際のクオリティが結構なレベルで違います。そんなバカなと思われるかもしれませんが、ダウンパワーもフィルパワーも案外適当な基準で、そこまで信頼のおける検査ではありません。とある検査機関ではダウンパワー450という結果が出ても、違う検査機関では410だったという話も珍しくないのです。ダウン率やダウンパワーだけを頼りに安いからといって羽毛を仕入れていると痛い目を見ます。(過去の自分にもっと強くそう言いたい。。。)
またキルトのマス数は同じですが、マチ高を少し上げました。羽毛布団の凹凸差を小さくする&生地のハリを和らげて身体へのフィット感を向上させるためです。ただあんまりやりすぎるとマスの中で羽毛が片寄ってしまうので匙加減が重要ですね。
T様、この度は弊店にご縁をいただき誠にありがとうございました。
最近はインスタグラムの投稿が多めです。ブログほど濃い内容ではありませんが、フォローして頂けると喜びます。
また先日羽毛布団リフォームに特化したインスタグラムアカウントを解説しました。そちらもご覧いただけますと幸いです。