羽毛布団リフォーム事例[福井県Y様]重い二層式羽毛布団を軽やかな仕上がりにリフォーム(シングル1枚→シングル1枚)
快眠屋では三重県内はもちろん、県外のお客様からも羽毛布団リフォームのご相談を多く頂戴しております。遠方にお住まいの方でも安心してリフォームのご依頼を頂けるように写真や動画を交えて1枚1枚丁寧に現状説明をさせて頂いております。布団を直接持ち込めないというお客様もお気軽に電話、LINE、メールでご相談下さい。
※遠方にお住まいで羽毛布団のリフォームをお考えの方はこちらのページをご覧ください。
目次
きっかけは羽毛の吹き出し?
これまで何度も羽毛布団のリフォームをさせて頂いている福井県のY様から、今回は姪御様の羽毛布団のリフォーム相談を頂戴しました。Y様が数年前に地元の寝具店で購入し、姪御様にプレゼントされた羽毛布団ということです。
姪御様にとっては初めての羽毛布団で喜ばれていたそうですが、最近になって「羽毛みたいなものが出てくるんだけどこれって普通?」というお話がY様にあったようで、リフォームをするべきかどうか当店で確認をして欲しいというご相談でした。(詳しくは後述しますが、最終的に吹き出しに関しては問題ナシという結論になります)
羽毛の吹き出しが起こる理由
さて、羽毛の吹き出しといっても、羽毛そのもの、つまりダウンが吹き出しているケースはほとんどありません。羽毛布団の生地はダニが入り込めないほど高密度に織られているので、生地が破れていない限り、サイズ的に羽毛が生地から吹き出すことはないのです。
では何が吹き出しているかというと、ダウンやフェザーが千切れて生まれるダウンファイバー、フェザーファイバーと呼ばれるホコリ、クズですね。
羽毛布団の生地はビニールではないのでこうしたファイバーの吹き出しをゼロに抑えることは不可能で、多少の吹き出しは付きものなのですが、
①あまりにもファイバーが多すぎる
②長年の使用で生地の織り目がゆるんでいる
③水洗いを頻繁に繰り返していて生地の織り目がゆるんでいる
④欧州製の高通気の生地を使っている
こういった条件が重なってくると許容できないレベルの吹き出しが起こることがあります。
このうち、②〜④の生地由来による吹き出しの場合は、新しい生地を使ってリフォームをすれば容易に吹き出しの解決ができます。
ただ①のファイバーがあまりにも多すぎるケース、これはなかなか対処が困難です。
過去にも何度かこのケースもありましたが、ファイバーというものは非常に微細で、羽毛にまとわりつくようにくっついているので、どれだけ丁寧に除塵作業を繰り返しても完全に取り除くことは絶対に不可能だからです。(近年流行りのリサイクルダウンもファイバーがかなり残っているのが実情です)
ゴアテックスのようなフィルムを貼った生地ならファイバーが非常に多い羽毛でも吹き出しは起こりませんが、そのような生地は高価なので、ファイバーが多い羽毛(あまり質の良くない羽毛)にそこまでお金を掛けてリフォームをする価値があるかというと難しいところです。
ちなみにファイバーは新品時点よりも5年後、10年後の方が当然増えていきますが、新品時点のファイバー含有量も羽毛のクオリティによって変わってきます。基本的には低クオリティな羽毛ほどファイバーが多いのですが、ダウン率だけではなかなか判断が難しいのが厄介で、同じダウン95%でもファイバーが多い羽毛もあれば少ない羽毛もあり、消費者の方が見抜くのは不可能でしょう。
通気性の低い生地と組み合わせる分には余程のことがない限り問題ありませんが、欧州製の高通気生地を使う時は要注意です。
送って頂いた羽毛布団
[メーカー]S社
[サイズ]150×210cm
[側生地]綿100%(サテン織)
[キルト]二層式キルト
[羽毛]ダウン93%(推定ダックダウン)
[充填量]不明
こちらが姪御様の羽毛布団です。メーカーは山梨のS社で、生地、羽毛、キルト、羽毛の充填量、いずれも標準的な羽毛布団です。
早速「吹き出しはどんなレベルかな?」と全体をチェックしましたが、なかなか吹き出しが確認できません。送って頂く前にきれいに掃除をして下さっていたとしても、大量に吹き出しがある場合はどこかにその痕跡が残っているものなので不思議です。
次に羽毛を取り出して確認してみるものの、ダウンファイバーやフェザーファイバーが異様に多いということもなし。。。うーむ、困った。
そこでY様に
「問題になるレベルの吹き出しが確認できなかったこと」
「もしこの状態で吹き出しが気になっているとしたら姪御様の吹き出しに対するセンサーが一般基準よりかなり厳しめであること」
「仮にリフォームをしても、同じ羽毛を使う以上、姪御様が満足いくようなレベルに仕上げるのは難しい可能性が高いこと」
「リフォームを取りやめるのも大いにアリだということ」
「もしリフォームをするなら、汗をかいていそうなので重くて蒸れやすい二層式キルトはやめた方がいいかもしれないこと」
以上の内容をお伝えさせて頂き、ひとまずY様と姪御様で今後の方向性について話し合いをして頂くことをお願いいたしました。
実は吹き出しよりも重さの方が気になっていた
改めてY様が姪御様に詳しく話を聞いて下さったところ、
「吹き出しに関しては小さなホコリのようなものが付いている程度でそんなに気にしていない」
「暖かすぎると感じることもある」
「ただそれよりも重くて寝返りがしづらい」
ということが新たに分かりました。吹き出しに関しては実際には気にされていなかったようでホッと一安心です。
今回のS社の羽毛布団はやや重めのサテン織の生地(といっても業界ではこれが普通)が使われていた上に、二層式キルトが採用されていたので、重さで寝返りが打ちにくかったというのは非常に合点がいく話です。
二層式キルトは立体キルトに比べて高い保温性が得られる反面、通気性が低下します。住まいが非常に寒い場合や冷え性の場合はその性質がプラスに働くものの、そうでない場合はマイナスに働くことも多々あります。万能のキルトはないので状況に合わせた個別検討が必要です。
当初の課題であった吹き出しの問題はなくなったものの、せっかくならということで姪御様のご要望に合わせてリフォームをさせて頂くことになりました。
リフォーム後
- [サイズ]150×210cm
- [キルト]変形5×5マス立体(マチ5cm)
- [充填量]1200g (このうち補充羽毛200g)
- [生地]バティスト
こちらがリフォーム後の羽毛布団です。生地は価格に対して非常に軽量なバティスト生地。しなやかさと軽さを両立させたい場合はよりハイグレードな生地が必要になりますが、今回は軽さが最優先ということでしたのでこちらを使用しています。
【取り出し羽毛量】
◆ 約1260g
【洗浄・除塵後の羽毛量】
◆ 約1000g
元々の羽毛布団から取り出せた羽毛量と、プレミアムダウンウォッシュ(洗浄・除塵)後の羽毛量は上記となったため、ここに新しい羽毛を200g補充して1200gで仕上げています。ここも軽さを優先したいという姪御様のご希望を受けてそのように対応させて頂きました。
補充羽毛に関しては中国産レギュラーグース90%を使用しています。表記上のダウン率は元々の羽毛の方が高い(元の羽毛は93%と表記)のですが、実質的なクオリティはこちらの方がやや上です。
生地、キルト、充填量の全てで軽量化を図っておりますので、この軽さなら姪御様にもご満足頂けるのではないかと思います。
Y様、本当にいつもいつも当店をご利用頂きありがとうございます!今後もどうぞよろしくお願いいたします。
最近はインスタグラムの投稿が多めです。ブログほど濃い内容ではありませんが、フォローして頂けると喜びます。
また先日羽毛布団リフォームに特化したインスタグラムアカウントを解説しました。そちらもご覧いただけますと幸いです。