羽毛布団リフォーム事例[兵庫県K様]東京インテリアで買ったばかりのフランスベッドのツインダウン羽毛布団の掛け心地が悪いのでリフォームしたい(シングル2枚→シングル1枚)
今年も先月あたりから羽毛布団リフォームのご相談を多く頂くようになりました。地元の方もいらっしゃれば、県外からお布団を送ってこられる方もいらっしゃいます。至極当然のことではありますが、遠方にお住まいの方でも安心してリフォームのご依頼を頂けるように1枚1枚丁寧に現状説明をさせて頂いております。布団を直接持ち込めないというお客様もお気軽に電話、LINE、メールでご相談下さい。
目次
フランスベッドの羽毛布団をリフォームしたい
今回ご依頼下さったのは兵庫県神戸市のお客様(K様)です。当店のブログやウェブサイトがきっかけでご縁を頂きました。最近は更新が滞りがちで恐縮ですが、過去の投稿をご覧になってご相談を頂けるのは大変ありがたいことです。
※遠方にお住まいで羽毛布団のリフォームをお考えの方はこちらのページをご覧ください。
リフォーム前の状態
合掛け (1.0kg)
[メーカー]フランスベッド
[サイズ]シングルロング(150×210cm)
[側生地]綿60% / ポリエステル40%
[キルト]3×4マス特殊立体キルト(パワードームキルト)
[羽毛]グースダウン95%
[充填量]1000g
肌掛け (0.3kg)
[メーカー]フランスベッド
[サイズ]シングルロング(150×210cm)
[側生地]綿60% / ポリエステル40%
[キルト]4×5マス直縫いキルト
[羽毛]グースダウン95%
[充填量]300g
こちらがK様が東京インテリアで購入されたフランスベッドの羽毛布団です。お話によると東京インテリアとフランスベッドのコラボ商品ということです。
2枚1セットのツインダウンタイプで、それぞれ単独で使用することもできれば、合掛けと肌掛けをボタンで留めて2枚を重ねて使うこともできるようになっています。
およそ20万円程度で購入されたということでした。
わずか数週間でK様がリフォームを考えられたワケ
こちらの羽毛布団はK様が数週間前に購入したばかりのものです。羽毛布団のリフォームと言えば早くても5年前後経ったもの、平均的には10〜20年以上経ったものがほとんどですので、わずか数週間前に購入した羽毛布団のリフォームは異例と言えます。
ではなぜK様は購入して早々にリフォームを検討する必要性に迫られてしまったのか。理由は主に2つあります。
① 羽毛が片寄ってしまう
1つ目の理由は羽毛の片寄りです。写真では分かりにくいかもしれませんが、合掛け布団は1つのマスの中に羽毛があるところとないところができています。
② 2枚重ねて使用するとカバーの中で布団がぐちゃぐちゃにズレてしまう
そして2つ目の理由は、肌掛け布団と合掛け布団を重ねて使用すると掛け布団カバーの中で布団がぐちゃぐちゃにズレてしまうというものです。
なぜこういった問題が起こるのか?
①→羽毛が片寄るワケ
羽毛が片寄ってしまうのは、キルトと羽毛量のミスマッチによるものです。
例えばスーツケースに荷物を詰める時、スーツケースがパンパンになるまで荷物を詰めればケースの中で荷物が動くことはありません。ですが荷物が少ししか入っていなければ、ケースの中で荷物がゴソゴソと自由に動いてしまいます。羽毛の片寄りもそれと同じようなものです。
もしこの合掛けが5×6マスの立体キルトかつマチ高が6〜8cm程度なら、羽毛量が1000gでもマスの中で羽毛が片寄ることはなかったでしょう。
ところが今回のフランスベッドの合掛け布団は3×4=12マスのパワードームという特殊な立体キルト。このキルトに羽毛が1000gというのはいささか少なすぎます。羽毛が片寄らないレベルまで中身を満たそうと思うと1300gくらいは必要でしょうね。
ですがだからといって羽毛を1300gも使ってしまうと、それはもはや合掛け布団ではなく冬用の本掛け布団になってしまいますので本末転倒です。合掛け布団を作りたいなら、そもそも3×4マスのパワードームキルトを採用するべきではなかったというのが結論でしょうか。
尚、パワードームキルトはマスの中央が極端に膨らむような縫製になっているので、マスの中央とその周辺でボリュームに差が生まれやすいという特徴があります。そのため羽毛の充填量が適切だったとしても、通常の立体キルトと比べると厚みにバラつきが出やすいキルトです。
②→カバーの中で布団がぐちゃぐちゃになってしまうワケ
最大の理由は合掛けと肌掛けを留めるボタンがわずか6ヶ所しかないところでしょう。ボタンの数が多すぎても面倒ですが、合掛けと肌掛けを重ねて使うなら12ヶ所は欲しいところです。縫製は非常に丁寧で素晴らしいのですが、留めボタンが6ヶ所しかなければ合掛けと肌掛けがズレるのも無理はありません。
今回は洗浄せずにリフォーム
最後のケースに入った写真は、新品の羽毛とK様の布団から取り出した羽毛を比較したものです。左から順に、新品の2グラム、肌掛けの2グラム、合掛けの2グラムです。
ある程度年数が経った羽毛布団の場合は羽毛をキレイにリフレッシュしてから新しい生地に充填しますが、今回はまだ購入して数週間ということもあり、羽毛の洗浄・除塵はせずにリフォームをさせて頂きました。リペア方式(側生地交換)というやつですね。
[合掛け]1020g
[肌掛け]300g
尚、合掛けと肌掛けから取り出せた羽毛は合わせて1320gでした。
リフォーム後
- [サイズ]150×210cm
- [キルト]変形5×5マス立体
- [充填量]1200g
- [生地]プレミアムサテン
- [補充羽毛]なし
こちらがリフォーム後の状態です。K様のご要望で、合掛けと肌掛けから冬用の本掛け1枚に仕上げさせていただきました。
少し布団の置き場所と画角が違いますが、リフォーム前と見比べると片寄りがなくなり、凸凹差が小さくなっているのがお分かりいただけると思います。(両サイドはあえて羽毛の量を減らしています)
キルトは変形の5×5マス立体キルトでマチ高は8.5cmで仕上げさせて頂きました。目先のことだけを考えるならマチ高はもっと高くしても良いのですが、今後羽毛がパワーダウンした時のことと、なるべく軽く仕上げたいというご希望もあり今回は8.5cmで仕上げています。(マスを増やしたり、マチ高を高くするほどマチ布の量が増えるので総重量が重くなります)
また羽毛については、取り出せた1320gすべてを使うのではなく、1200gだけ使用しています。
実はK様はこのフランスベッドの羽毛布団を家族分(4組)購入されておりまして、他の3組もこの夏にリフォームする予定でいらっしゃるんです。(今回は1組だけ先取りでリフォームをさせて頂いたカタチですね)
余った120g分の羽毛は次回以降のリフォームに有効活用することができるので、今回は無理に全量使うのではなく、お子さん用に1200gで仕上げさせて頂きました。
K様から嬉しいご連絡
羽毛布団が手元に届いたK様から「今お布団が届きました!すっごく気持ちいいお布団に作り直して頂き有難う御座いました!」という嬉しいご連絡を頂きました。仕上がりに自信はありますが、お客様がお気に召されるかどうかはやっぱりいつもドキドキです。このように喜んで頂けると職業冥利に尽きますね。
今回の事例からも分かるように、羽毛布団は羽毛の質が良くても、布団としての設計に問題があれば快適にはお使いいただけません。
羽毛布団は雰囲気で設計するものではなく、「どんな厚みに仕上げたいか」「羽毛の質」「羽毛の量」「生地の軽さ」を総合的に考えてキルトパターンを設計する必要があります。この辺りは効率重視の大手メーカーには真似のできない部分ですので、羽毛布団にこだわりたい方はぜひ私どもにご相談下さい。
K様本当に有難う御座いました。残りの3組もお任せ下さい!
最近はインスタグラムの投稿が多めです。ブログほど濃い内容ではありませんが、フォローして頂けると喜びます。
編集後記 (新鮮な魚を手に入れる)
鳥羽磯部漁協直販センター
ここ数ヶ月はなかなか釣りに行くことができず、新鮮な魚に飢えておりました。そこで最近探し当てたのが「鳥羽磯部漁協直販センター」です。その名の通り、その日水揚げされた魚を直売してくれる場所です。伊勢方面から見ると鳥羽水族館の少し先、小さな港の中にあります。主に飲食店や旅館向けの施設ですが、一般向けに小売もしてくれます。
公式サイト https://jf-tiss.net/shop.html
ですが魚屋さんではないので当然のことながらウロコを取ったり、3枚に下ろしたりといったサービスはありません。美味しい魚は食べたいけど、魚を捌くのは無理という方は鳥羽マルシェをオススメします。ただ自分的には全く困らないどころか、願ったり叶ったりといったところです。
最終目的は美味しい魚を食べることですが、その過程にある「魚を捌く作業」も自分にとっては決して欠かせない工程なのです。自分で鱗を取ったり、すき引きをしたりしたいのです。自分で内臓をとって、内臓脂肪の量をチェックしたいのです。自分で3枚に下ろして、腹骨をすきたいのです。あの包丁が骨に当たる「コツコツコツ」という小気味よい音を自分の耳で聞きたいのです。他人が捌いた魚ではなく、自分で捌いた魚にこそ価値があるのです。
(というかここまで新鮮な魚だと、買ったその日に食べるよりも数日寝かせたほうが美味しいので、寝かせて美味しく食べるには魚をマルのままもらう必要があります)
値札がない
直販センターで魚を買う最大のハードルは値札がどこにもないことです。生簀で泳いでいる魚はもちろん、既に活け締めされた魚にも値札はありません。また接客係の方もいません。普通のお店を想像して向かうと、我々のような素人は面食らうはずです。え、魚はいくらなの?財布の中身で足りるの?どうやって魚を買えばいいの?と。
魚の値段は重さで決まります。その日その日の相場で「1キロあたりの単価」があるようで、仮にその日の真鯛のキロ単価が1,500円だとすると、2.0キロの真鯛なら3,000円といった具合です。このキロ単価は職員の方に聞けば教えてもらえますが、何度も質問していると仕事の邪魔になってしまうので、なかなか聞きにくい雰囲気なんですよね。ここもハードルの一つかな。
ただキロ単価が分かっても、まだこの時点では魚一匹一匹の正確な値段までは分かりません。結局は「この大きさならだいたい○○キロくらいかな」と予想を付けて買うことになるので、最終的な価格はいざ買う段にならないと分からないのです。慣れてくると、この大きさだと大体何キロくらいかなと分かるようになってくるのでしょうが、正直僕はまだよく分かっていません。。。
安くて美味しい
これまで僕が買った魚は、ヒラメ、イシダイ、クロダイ、マトウダイ、ホウボウ、カワハギ、スズキ(セイゴ)、カサゴ、メバルといったところです。いずれも一般の相場からすると非常に安く、そして美味しい!ハードルを越えて購入する価値は十分にあると断言します。
ちなみにこの中だとイシダイがずば抜けて美味しかったですね。写真はイシダイを5日ほど寝かせてから、丼にした時のものです。魚の脂は健康にもいいので、ぜひ皆さんも魚を直販センターで買って捌いて食べてみて下さい。