羽毛布団リフォーム事例[福島県I様]羽毛診断の結果、丸八真綿の羽毛布団の劣化が激しかったためリフォームではなくお買い替えに
快眠屋では三重県内はもちろん、県外のお客様からも羽毛布団リフォームのご相談を多く頂戴しております。遠方にお住まいの方でも安心してリフォームのご依頼を頂けるように写真や動画を交えて1枚1枚丁寧に現状説明をさせて頂いております。布団を直接持ち込めないというお客様もお気軽に電話、LINE、メールでご相談下さい。
※遠方にお住まいで羽毛布団のリフォームをお考えの方はこちらのページをご覧ください。
目次
10年以上使用した丸八真綿の羽毛布団をリフォームしたい
こちらは福島県のお客様(I様)から送って頂いた丸八真綿の羽毛布団です。使用期間は10年以上。生地が破れて羽毛が出てきてしまったため、リフォームをご検討されているとのことです。ご結婚の際にお祖母様が購入してくれた思い出の品ということで、可能であればリフォームで対応したいと仰られておりました。
リフォーム前の状態
生地の破損は襟元付近に集中しています。羽毛布団の生地は掛布団カバーに使用されているような生地と比べると圧倒的に丈夫なのですが、汗や皮脂が染み込んでくると強度が大きく低下し、小さな力でもピリッと裂けやすくなってしまいます。襟付近は最も汗や皮脂で汚れやすい部分ですから、生地が破れて羽毛が出てくるのはほとんど襟部分です。
対策は、①週に1回を目安に掛布団カバーを洗濯する、②3〜5年に1回を目安に羽毛布団本体を水洗いクリーニングする、の2つです。この2つを守って頂いていれば早々に生地が破れることはありません。
尚、羽毛布団の場合、毎年水洗いクリーニングすることをオススメされている業者様もおられるようですが、過度な水洗いクリーニングは禁物です。ポリエステル100%やポリエステル85%綿15%といった水洗いに対応した生地が使われている場合は別ですが、綿100%の生地の場合は水洗いをすることでほぼ間違いなくダウンプルーフ加工が弱まりますので、水洗いを繰り返せば繰り返すほど羽毛が吹き出すリスクが上がります。特に日本ではサテン織の生地が多いので尚更ですね。(一年中同じ羽毛布団を使い続けていたり、男性で寝る前にお風呂に入らないといった場合は2年に1度くらいの頻度でもよろしいかと思いますが、基本的には3〜5年に1度が目安です。)
羽毛布団本体の水洗いクリーニングを最小限に抑えるためにも掛布団カバーの洗濯をこまめにすることをオススメいたします。
ダブルフェイス的な羽毛布団
写真では分かりにくいと思いますが、今回の丸八真綿の羽毛布団は西川で言うところのダブルフェイス的な羽毛布団でした。2枚の羽毛布団を縫い合わせて1枚の羽毛布団に仕立てているタイプです。(ミシンで完全に縫い合わせているので2枚に分割して使用することはできません)
丸八真綿さんでは珍しいタイプですね。
このダブルフェイス的な羽毛布団は、通常の立体キルトの羽毛布団よりも保温性が高くなるというメリットがある反面、生地が2倍になるので総重量が重くなる、湿気が抜けにくいので蒸れやすいというデメリットがあり、使い所を間違えるとかえって快適性が低下しますので要注意です。
羽毛の状態を確認
今回は上層と下層のそれぞれから2グラムずつ羽毛を抜き出しました。
左が上層、右が下層です。(どちらも同じ2.0グラムです)
大変無礼な物言いで恐縮ですが、下層は汗や皮脂が強く染み込み、かなりベタつきがある状態です。ダブルフェイスや二層式キルトの羽毛布団は高い保温性がある一方で蒸れやすいという欠点がありますので、標準的な体質の方や暑がりの方が使うと快適な暖かさを飛び越えて汗をかいてしまいます。その影響もあって、この状態なのだと思われます。
上層は下層よりマシな状態ですが、とはいえ新品(一番左)と比べると流石に傷みが進んでいますね。一つ上のGIFは新品と上層を比べたものですが、比較的状態の良い上層であっても新品とは大きな違いがあるのがお分かりいただけるはずです。
リフォームすべきかどうか
羽毛の状態が良好な場合はリフォームするかどうか悩む必要はありません。またあまりにも劣化が進んでいる場合も、合理的に考えると「リフォームをしない方がいい」に決まっているのでさほど悩む必要はありません。悩ましいのは今回のように羽毛の状態が微妙な時ですね。特に思い出の品の場合は尚更です。
胸を張ってリフォームすべきです!とは申し上げられないし、かといってリフォームする価値がない!とまでは断言できない状態、、、。いつもどのようにお伝えすべきか悩みます。。。
悩んだ結果、I様にはこのような写真や動画をI様にお送りさせて頂いた上で、「リフォーム自体は可能。ただ下層の羽毛は劣化が進んでいるので、軽くて暖かくて長持ちする羽毛布団を目指すなら、下層は使わずに上層の羽毛だけを使ってリフォームをする方がオススメ。ただその場合、上層・下層両方を使ってリフォームをするよりも補充羽毛が大量に必要なのでリフォーム費用が高くなってしまう=新品との価格差が小さくなってしまう。。。」とご説明させて頂きました。
当店のリフォームは、温水で洗うプレミアムダウンウォッシュ方式ですが、いくらこのプレミアムダウンウォッシュだろうと羽毛の状態が悪いとパワーの劇的な回復は望めません。もちろんリフォーム前よりは良好になりますが、元が悪ければ仕上がりもそれなりなので、魔法をかけたように新品同様とはいかないのです。
リフォームではなく買い替えに
お祖母様が買ってくれた羽毛布団ということでI様も悩みに悩まれたのですが、最終的にはリフォームは取りやめて、新品の羽毛布団に買い換えられることになりました。
- [サイズ]150×210cm
- [キルト]変形5×5マス立体キルト
- [羽毛]中国レギュラーグース93%
- [充填量]1200g
- [生地]ソフトサテン
使用した側生地はソフトサテン(綿100%)です。これまでお使いだった丸八真綿の羽毛布団に近いものをご提案させて頂きました。
キルトはこれまでと同じようにダブルフェイスで仕上げることも可能でしたが、ダブルフェイスの「蒸れやすい」「重い」という欠点を考慮し、今回はバランスの良い通常の立体キルトで仕上げることになりました。
羽毛はコストパフォーマンスに優れた中国産レギュラーグース93%を使用しました。中国産の羽毛というと品質を心配される方もいらっしゃるのですが、その辺のポーランドやハンガリーのグースダウンより余程質は上です。名前だけで品質の伴わない有名産地の羽毛を使用するくらいなら、中国のハイクオリティでリーズナブルな羽毛を使うことを断然オススメします。
こちらの羽毛でしたらお手入れ次第で30年は快適にお使いいただけるはずです。(5年に1度の水洗いクリニーング、10年に1度のリフォームが目安)
I様、この度は当店にご縁をいただきありがとうございました。
羽毛診断の結果、新品に買い変える方は全体の2〜3割
毎度申し上げていることですが、リフォームができるかどうかと、リフォームする価値があるかどうかは別の話です。仮に、それなりに軽くて暖かくて、なおかつ10年程度は問題なく使用できるような仕上がりを目指すとした場合、羽毛の品質・状態が悪いと大量に新品の羽毛と入れ替える必要が出て参りますので、リフォームの価格的メリットが薄れてしまいます。(中途半端にお金をかけてリフォームをして仕上がりが微妙…というのが一番避けたい事態ですね)
思い出の品だから多少費用がかかっても良いという場合や、仕上がりの良し悪しは問わないという場合はリフォームに踏み切っても良いと思いますが、費用対効果を考えるならば新品への買い替えを視野に入れた方が良いこともあります。
快眠屋では羽毛の品質・状態を丁寧にチェック・ご報告した上で、リフォームと買い換えのどちらが良いかをご提案させて頂いておりますので、リフォームか買い換えかお悩みになっておられる方はお気軽にご相談ください。
最近はインスタグラムの投稿が多めです。ブログほど濃い内容ではありませんが、フォローして頂けると喜びます。
また先日羽毛布団リフォームに特化したインスタグラムアカウントを解説しました。そちらもご覧いただけますと幸いです。