羽毛布団リフォーム|月の友のちょっと変わった重たい布団をリフォーム
お客様が持ち込まれた羽毛布団は月の友のダブルサイズでした。
月の友と言えば訪問販売系の会社です。最近でこそほとんど見かけることはなくなりましたが、10年前や20年前は月の友で布団を購入されている方も多く、月の友の布団をリフォームして欲しいというご依頼をよく頂きます。
遠くて布団を直接持ち込めないという方はぜひ上のページをご覧下さい。遠方のお客様を対象にしたリフォームの流れを解説しております。
羽毛布団なのに重い
『購入したはいいものの、重すぎてほとんど使っていなかったんです。』とはお客様の談。
羽毛布団と言えば軽くて暖かいことが最大のウリのはずですが、重たいとはこれ如何に。その理由は超変則的な側生地に理由がありました。
写真をご覧ください。一番外側の生地の中に、さらに小分けにされた羽毛が入った中袋が8個入っています。側生地の中に直接羽毛を吹き込むのではなく、側生地の中に羽毛のクッションが沢山詰め込んであると思っていただけば分かりやすいかもしれません。
なぜ?なんのために?
率直に申し上げて、私にはわざわざこの構造で羽毛布団を作る大きなメリットが理解できません。おそらく温度調節や吸湿性といった羽毛布団の使い心地などは考慮されておらず、単に他社との差別化を追求した結果がコレなんだと思われます。側生地もポリエステル100%ですしね。
本来であれば、
羽毛布団の総重量=羽毛の充填量+側生地の重量
となるはずが、今回の月の友の布団に関して言えば、
羽毛布団の総重量=羽毛の充填量+側生地の重量+中袋の生地の重量
となり、中袋の生地の重量分が普通の羽毛布団に比べて余分にのしかかってくるわけです。そりゃあ重たいはずです。生地の重さってバカになりませんからね。
あ、先ほどメリットが思いつかないと言いましたが、ひょっとすると『側生地が汚れた場合は中袋を全て取り出して側生地だけ洗濯することができる』というのが狙いなのかもしれません。しかしながら、単にそれだけのためにこのような構造になっているのであれば残念ですねえ。メリットよりもデメリットの方が圧倒的に大きすぎます。羽毛布団最大の強みを台無しにしてまで、この構造にこだわる理由がありません。
訪問販売系のメーカーは、しばしば商品の価格を釣り上げるために、機能的には意味のない(むしろ悪化させる)装飾や、商品構造を推し進める傾向があるように見受けられます。
市場に出回っている一般品とは全然違いますよということで、価格に説得力を持たせられると考えているのでしょう。それはそれで経営努力なのかもしれません。ですが、機能的にさほど意味のないものをさぞ素晴らしいものであるかのように見せかけ、売り抜けるその企業姿勢は果たして道徳上どうなのか。疑問です。
また訪問販売とは少し形態が違いますが、学校や病院の職員を相手に営業をするとある職域販売のメーカーも価格に対して品質が見合っていない印象があります。
自己責任と言ってしまえばそれまでですが、消費者の方々はゆめゆめお気をつけください。
コットン100%の軽量バティスト生地
お客様のご希望は、サイズはそのままで軽くしたいということでしたので、平米94gのバティスト生地を使用してリフォームをさせて頂きました。
取り出し羽毛が約1640g、プレミアムダウンウォッシュ後は1380g。足りない分はDP390のホワイトグース90%を補充し、最終的には1600gで仕上げました。
リフォームにかかった総額は、57,400円(税抜)でした。
羽毛布団全体の総重量はかなり軽くなりましたので、きっとお喜びいただけるかと思います。ありがとうございました。