羽毛布団リフォーム|20年以上前のシャルマン(武井商事)製をリフォーム
インスタグラムをご覧になって、当店に羽毛布団リフォームのご相談にお越し下さったH様。
持ち込んで下さったのはこのようなお布団でした。
【メーカー】シャルマン(武井商事)
【サイズ】シングルロング
【羽毛】ヨーロピアンホワイトグース95%
【羽毛量】1300g
【側生地】綿100%
【キルト】変形4×5マス
今はもう倒産してしまって存在しないシャルマンの羽毛布団です。
側生地は細番手のサテン生地、羽毛は95%のグースダウン。立派な高級品ですね。きっと購入時はいい金額がしたはずです。
とても大切に使ってこられたようで、使用年数なりの傷みはあるものの、汚れはほとんどありません。
今回はこちらのお布団をお嬢さんの新生活用にリフォームできないか?というご相談でした。
常々お伝えしていることですが、技術的にリフォームができない布団というのは基本的にありません。リフォームしようと思えばどんなに傷んでいる布団でもリフォームは可能です。
ただし、リフォームをする価値がない(と思われる)布団は沢山あります。
あまりにも羽毛の劣化が進んでいる場合や、そもそもの羽毛のグレードが低すぎる場合は、リフォームにかかる金額とその仕上がりに釣り合いが取れないんですよね。
というわけで快眠屋では無責任に請け負うのではなく、中の羽毛の状態をきっちりチェックした上で「リフォームする価値があるかどうか」を判断させて頂いております。
そこでこちらのお布団から取り出した羽毛がこちら。
もう少し寄ってみるとこんな感じです。
静止画では分かりにくいと思いますが、状態はかなり良好です。
これなら捨ててしまうのは勿体無いですね。年々クオリティが下がる一方な、低価格帯の羽毛布団を新たに購入するよりは、こちらの羽毛をキレイに洗ってリフォームをする方が断然オススメです。
ということで今回はリフォームをオススメさせて頂きました。
<リフォーム後>
【取り出し羽毛】約1390g
【プレミアムダウンウォッシュ後】約1100g(−290g)
【補充羽毛】DP390 ホワイトグース90% 200g
【新側生地】スーパーソフトサテン
【キルト】変形5×6マス
【仕上げ羽毛量】1300g
【リフォーム総額】57,000円+税
品質表示のタグには1300g入りと記載されていましたが、いざ羽毛の取り出し量は1390gという結果に。100%全ての羽毛を取り出すことはできませんので、実際には1400g以上羽毛が入っていたはずです。
実は中の羽毛の量が表示と違うというケースはしばしばございます。消費者の方は「少ないのならまだしも多いなら良いじゃないか。むしろ儲かった。」と喜ばれるかもしれませんが、基本的に羽毛の増量は羽毛の質が良くない時にするもの。
本当に良い羽毛なら少ない量で膨らみが出ますから、増量とは羽毛の質の悪さを露呈しているようなものなんですよね。
ただ今回の羽毛は質がいいものなので表示通りの1300gで十分厚みは出るはず。。。そこをあえて100g以上多めに入れているのは、当時のメーカーが陥っていた過度なボリューム競争によるものなのかもしれません。当時は使い心地は二の次で、とにかく膨らんでボリュームがあるものが高級品だ!という風潮がありましたので。。。
<元量よりやや少なめに>
元通り(1400g)に仕上げるということなら、洗浄後に残った1100gに新羽毛を300g補充するということになるのですが、今回はそこまでたっぷり羽毛を詰め込む必要はないと判断し、補充羽毛は200gで仕上げました。
つまり元量よりやや少ない1300g仕上げです。元々の羽毛の質が良かったということと、キレイに使われていて羽毛の傷みが少なかったということ、そして使用されるのは若い女性ということを考えると十分でしょう。
<補充羽毛よりも新調側生地を優先>
羽毛布団というと、新品の場合もリフォームの場合も羽毛の良し悪しに関心がいきがちですが、実際の快適さは側生地の質に左右される部分が非常に大きいです。
羽毛のランクを上げて生地の質を下げるよりも、反対に生地の質を上げて羽毛のランクを下げる方が快適な訳です。(もちろん限度はありますけどね)
ということで今回はご予算の配分を側生地に優先的に振り分け、その分補充羽毛の質を1ランク下げるという提案をさせて頂きました。
もちろん側生地と羽毛の両方にお金を掛けられるのならそれがベストですが、そうでない場合は側生地にお金を掛けましょう。
H様、この度は当店をお選びいただきありがとうございました( ^∀^)
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