
お客様事例|全館空調の戸建て住宅に適した羽毛布団の厚み
目次
ツインダウンスタイルの羽毛布団は重さがネック
先日、東京からベッドのご相談にお越し下さったT様ご家族。当初はご家族のベッドが目的と伺っておりましたが、当日の話の流れでご夫妻の羽毛布団も弊店でご用意させて頂くことになりました。ありがとうございます。
お話によると、今は約18年前に百貨店で購入した西川のツインダウン(肌掛けと合掛けのセット)をご使用になっておられるようです。
「良いものを買ったはずだけど重さが気になった。」とは奥様の談ですが、ツインダウンは生地の重量が倍になるので、便利な反面2枚を重ねて同時に使うと重さの問題が生じます。
例えば綿100%の60サテンならシングルサイズ分の生地重量だけで約950g、80サテンでも約780gで、ツインダウンの場合はこれが×2です。充填量が400gの肌掛けと800gの合掛けの組み合わせでも、羽毛2枚分(1200g)+生地2枚分(1600〜1900g)=約2800〜3100g。これでは重さが気になる方がいらっしゃるのも不思議ではありません。
当店でもツインダウンスタイルの羽毛布団を販売させて頂くことがしばしばありますが、「重さのことを説明させて頂く」「できるだけ軽い生地を使用する」ように努めています。
住環境や生活スタイルが変わった今でこそ2枚同時に使用することはないようですが、T様はこうした経験から「せっかく羽毛布団を新しくするなら軽くて暖かい羽毛布団」をご希望です。
全館空調の戸建て住宅に適した羽毛布団の厚み
先日、「基本的に戸建て住宅は集合住宅と比べると寒いが、一条工務店をはじめとする一部の高性能住宅は例外」といった内容のブログを書きましたが、全館空調の戸建て住宅もその例外の一つ。家全体で寒さを感じない快適な温熱環境が実現されているケースが多いです。T様もそのケースで、冬場でも20℃以上をキープしているということでした。

こうした住環境においては上の写真のような、いわゆる冬用のボリュームのある羽毛布団は不適切です。室温に対して保温性が過剰すぎてオーバーヒートを起こすからです。
保温性が物足りないのもそれはそれで問題ですが、この問題は「後から羽毛を追加する」「掛布団カバーの種類を変える」「ブランケットを追加する」といった方法で対処できるのに対して、オーバーヒートの方は対処方法がないので大変です。

20℃前後の室温なら保温力4以上の厚みは基本的に不要。十中八九、保温力3以下で問題ありません。暑がりな人ならむしろ保温力2でも良いくらいです。
仮にこの室温で保温力4以上が必要だとしたら、高齢者や、非常に痩せている人など、基礎代謝量が極めて低い場合ですね。一般的な人間の発熱量は睡眠時で70W程度ですが、基礎代謝量が低い人は40〜50W前後になることもあります。そうなるとほんのわずかでも熱が空気中に逃げるのを防ぎたいので、熱が逃げにくい保温力4や5の厚みが必要です。
実際の厚みを確認しながらご検討頂いた結果、今回はお二人共に保温力3をお選び頂きました。ツインダウンの肌掛布団だと寒く感じると仰っておられたのでちょうど良い厚みだと思います。
羽毛はベストオブポーランド手選別ステッキーマザーグース98%

T様におかれましても実際に目と手で品質を確認して頂きながら羽毛をお選び頂きました。写真では伝わりにくいですが、生で見るとベストオブポーランドは佇まいからして別格のオーラを放っています。高い保温性は当然ながら、耐久性も高く、吹き出しも起こりにくい。予算が許せば間違いなくベストの選択肢です。
生地は世界最軽量のエクストラライトバティスト

T様が手で持った瞬間に「すごーい!軽ーい!」と気に入って頂いた展示の羽毛布団には、世界最軽量のエクストラライトバティストを使用していたので、その第一印象の良さで今回はエクストラライトバティストを使用させて頂くことになりました。
この生地はプレミアムバティストと同じくドイツのsanders/kauffmannの生地です。プレミアムバティストよりもさらに細い糸を使用し、より軽く、より薄い仕上がりです。(通気性は同程度)
綿100%の羽毛布団生地としては世界最軽量ですが、その分強度が低く、破れやすいというデメリットがあり、ハードに使うと裂けるリスクが高いのですが、そのことを説明させて頂くと「その時はその時なので大丈夫です」とあっさりご承諾。強すぎます…!

仕立て上がった羽毛布団






納期の都合でベッドのお届けはまだ先になってしまいますが、まずはこの羽毛布団の心地よさをご体験頂けると幸いです。
T様、この度はありがとうございました。ベッドのお届けも楽しみにお待ちください。