マットレスフィッター®︎による体型や寝方に合ったベッドマットレス選びpart.2
02. 血液循環をスムーズに促す
血行不良は様々なトラブルを招きます。
長い間正座をしていると足が痺れてきますよね。これは足が体重で圧迫され、血の巡りが悪くなっていることが原因です。
睡眠中も同じようなことが起こる可能性があります。
例えば朝起きた時に「背中に違和感がある」「肩が痛い」「腕がしびれている」というような場合。
このような症状の多くは、寝ている間に身体が圧迫され、血の巡りが悪くなっていることによって起こります。
特に背中やお尻、肩といった凸部分は圧迫されやすいので、血液がスムーズに循環しにくいのです。
つまりマットレスに求められる第二の役割は、この圧迫を減らし、睡眠中の血液循環をできる限りスムーズにすること。
寝具業界ではこの性能のことを体圧分散性といい、圧迫が少ないマットレスほど体圧分散性がいいと表現します。
これは快眠屋の女性スタッフが「Aマットレス」と「Bマットレス」に寝た時の圧力分布を測定したものです。色が青に近づくほど圧迫が少なく、赤に近づくほど圧迫が強いということです。
Aでは最大プレッシャーが110mmHgを超えて測定不能になっていますが、Bでは最大プレッシャーは76mmHgとなっています。(画像右側に小さく数値が載っています)
つまりBの方が体圧分散性に優れ、血液の循環がスムーズということですから、快眠屋の女性スタッフにとってはBマットレスの方が望ましいということになります。
ただし注意をしないといけないことが一つ。
それは「体圧分散が全てというわけではない」ということ。
どれだけ体圧分散性に優れていても、part.1で触れたように背骨のカタチが崩れていては意味がありません。
基本的にマットレスはソフトになればなるほど、厚みを増せば増すほど体圧分散性が向上します。
しかしそれも度が過ぎると、身体の中で一番重いお尻が大きく沈み、それに引きずられて腰も沈みます。これでは背骨のS字カーブや直線は正しくキープできません。
かつて一世を風靡した低反発マットレスがコレですね。
最近ではお尻が沈まないようにかなり硬めに作られた低反発マットレスも出てきましたが、そうなると低反発マットレス最大のウリである「体圧分散性」が悪くなってしまうので、それはそれでどうかと思います。
マットレスは、どこか一つの性能に飛び抜けているものを選べば良いというものではありません。全体のバランスが大切です。
03. 寝返りをサポート
寝返りは健全な睡眠を考える上で不可欠な要素です。最近はテレビでも睡眠中の寝返りの重要性が取り上げられるようになり、認知度が高まってきました。私たちは寝返りをすることで、血液循環を促し、背中にこもった湿気を逃がし、そして筋肉のストレッチを行います。
しかし反発力に欠ける素材で作られたマットレスは、身体を押し返す力に乏しいため、しばしば寝返りを妨げるという問題を引き起こします。マットレスフィッター®️が低反発マットレスに否定的な立場を採っているのはこのためです。
寝返りを妨げず、動きたい時に好きなように動ける。マットレスにはその動きをサポートできるだけの反発力、弾力が必要です。
そういった意味では、近年脚光を浴びている高反発マットレスには寝返りがしやすいというメリットがあります。各メーカーも寝返りのしやすさをウリにしています。
しかし一口に高反発といっても実際の弾力性は様々です。ラテックスフォームに近い弾力を持ったフワフワのものもあれば、ほとんど沈みがなく、単に硬いだけのものを高反発と表現していることもあります。
数年前に大ブームを引き起こしたマットレスはこの類です。有名アスリートを起用し、巧みなイメージ戦略と湯水のように注がれた広告宣伝費で一躍マットレス業界のトップに躍り出ました。まさに昇竜の勢いでした。ところが残念なことに今となっては見る影もありません。
確かに硬いマットレスは寝返りがある程度うちやすいのですが、度が行き過ぎると「背骨の保持がうまくいかず」「血液循環も妨げられる」という結果に陥るわけです。
下の写真は国内有名メーカーの高反発マットレスに快眠屋のスタッフが寝ている時の様子ですが、完全に骨格と背骨が歪んでいます。いくら寝返りがしやすかったとしても、このスタッフにとってこのマットレスは不適格です。
くどいようですが、マットレスに大切なことはバランスです。
あまり優先すべきでない機能
マットレスに求められる機能として「背骨の保持」「体圧分散」「寝返りのしやすさ」の3つを挙げましたが、他にも「温度と湿度をコントロールする機能」なども挙げられます。
しかしこれはきちんとしたベッドパッドやベッドリネンを使えば補える役割ですから、先で挙げた三要素と比べると重要度は下がります。
もちろんマットレス本体の吸湿性や断熱性、通気性は優れているに越したことはありません。しかし、その部分を優先するあまり、最初に挙げた3つの要素が阻害されてしまうのであれば意味がありません。
最近では家庭のお風呂場で洗えることをウリにしたマットレスもありますが、これらのマットレスの多くは肝心な3つの性能に著しく欠けているため、マットレスフィッター®️はオススメしません。(ジェルトロンは例外です)
(part.3 応用編 体型の違いを考える に続く)