【2023年更新】硬いマットレス・敷布団を柔らかくしたい
目次
硬すぎるマットレス・敷布団で悩んでいる人は意外と多い
どうも、マットレスフィッター®︎の植村浩太朗です。
①高級ブランドのベッドを買ったはいいが、思ったよりもマットレスが硬くて身体が痛い
②スポーツ選手が宣伝している有名マットレスを買ったが、硬くて朝起きると身体が痛い眠れない
③腰痛には硬いマットレスが良いと聞いて硬いマットレスを買ったが背中や肩が痛い
快眠屋には日本全国からこのようなご相談が多数寄せられます。具体的には「AiRエアー」「エアウィーヴ」「マニフレックス」「シモンズ」「シーリー」「サータ」「フランスベッド」をお使いの方から多くご相談を頂く傾向にあります。
日本には硬いマットレスが健康に良いという迷信がまだまだ根強く残っている上に、「腰痛で悩んでいる」と言うと非常に高い確率で店員さんから硬めのマットレスをオススメされるため、硬いマットレスを買ってしまう人が後をたたないのですが、私たちの身体は一人ひとり違います。硬いマットレスが合う人ばかりではありません。
特に近年有名アスリートを起用して知名度を上げている高反発マットレスは、単に硬いだけというものが多く、横向き寝が多い方や身体の凹凸が激しい方には不適切なケースがほとんどです。特に40代以上の世代は筋肉が衰えていたり、柔軟性がなくなっていたりしますので尚更ですね。購入を検討されている方は本当にそれで良いのか慎重に検討しましょう。
硬すぎるマットレスの弊害
硬すぎるマットレスを使うことによる主な弊害は3つ。
1.肩や背中、お尻といった凸部分に圧迫が起こり、血行障害を招く
自分にとって硬すぎるマットレスに寝ると背中とお尻に体重が集中し、血行障害を招きます。血の巡りが悪くなると、筋肉に酸素や栄養素が行き渡らなくなるので、痛みやハリ、だるさを感じることになります。
これは横向き寝の時も例外ではありません。横向きになると背中の圧迫はなくなりますが、今度は肩が圧迫されるので、肩こりや腕の痺れの原因になります。特に肩は関節ですので、ここに日常的に負担がかかっていると四十肩・五十肩の原因になります。
横向き寝がメインの方にとって、硬めのマットレス・敷布団は最も相性の悪いものになりますので、ご注意ください。
2.腰の後ろに隙間ができて、背骨のS字カーブを支えられない
硬いマットレスは身体の凹凸にフィットしにくいので、腰の裏に隙間が空くことがあります。そうなると腰椎のカーブを支えることができなくなり、腰周辺の筋肉がブリッジをしているかのように緊張します。これでは腰に疲労が溜まるばかり。
腰痛改善のために硬いマットレスを買ったはずが、その硬いマットレスがさらに腰痛を悪化させていたということも珍しくありません。
上の画像は当店のスタッフ(女性・BMI21)がマニフレックスのモデル246というマットレスに、仰向きで寝た時の体圧分布データです。色がついているところが体とマットレスが接触している部分で、色がついていないところがスキマの部分です。
画像を見ると、背中とお尻の凸部分はバッチリと色がついていますが、腰の部分が白くなっています。これは腰の裏にスキマができている証拠。つまり当店の女性スタッフにとってはモデル246は硬すぎるということですね。
理想は上の写真のように腰のカーブに沿ってマットレスがくまなくフィットし、背骨を支えることですから、腰の裏にスキマができているこの状態はお世辞にもいい状態とは言えません。
3.骨格が歪み、椎間板に負担がかかる
自分にとって硬すぎるマットレスに横向きで寝ると、上の画像のように肩とお尻の凸部分がうまく沈んでくれません。こうなると骨格が歪みはもちろん、背骨の湾曲やねじれが発生します。当然ながらこういった不良姿勢で寝ていると身体がリラックスできないので、肩こりや腰痛の原因になります。
さらにいえば、下イラストのように椎間板への負担が増し、長期的視点で見るとヘルニアや狭窄症などの発症リスクを高める可能性が出てきます。
身体の凹凸差が激しい方ほど姿勢が歪みますので、そういった体型の方は男女問わずお気をつけください。
解決策は?
このようなケースにおけるベストの解決策は「そのマットレス本体を自分に合ったものに買い換えること」です。しかしまだ購入して間もないという場合は、買い替えといってもなかなか現実的ではありません。
そこで快眠屋では、現状の敷寝具に1枚プラスすることで寝床を柔らかくするオーバーレイという薄型のマットレスを併用することをオススメしています。
しかしオーバーレイ(薄型のマットレス)ならなんでも良いというわけではありません。
近年このジャンルの商品は有名アスリートを起用したものから、そのパクリ商品、そして低反発マットレスなど様々なものが世に溢れています。トゥルースリーパーやエアウィーヴ、AiRにマニフレックス、テンピュールなど、どこのメーカー・ブランドもオーバーレイというジャンルの商品を用意しています。
実際に快眠屋も以前は様々なタイプを扱っておりました。その中で得られた知見は以下のようなものです。
低反発ウレタン系
低反発ウレタン系のオーバーレイにはテンピュールやトゥルースリーパーが挙げられます。低反発ウレタンは別名メモリーフォームと呼ばれ、ソフトな感触のものがほとんどです。そのため体圧分散性に関しては優秀ですが、その一方で他の素材と比べると「寝返りが打ちにくい」「お尻が沈みすぎて姿勢が悪くなりやすい」「気温で硬さが変わる」「通気性が悪いので蒸れやすい」「寿命が短い」という欠点があり、デメリットがメリットを大幅に上回ります。
特に厚みにあるタイプほど低反発ウレタンの特性が強く発揮されるため、体圧分散性が向上すると同時に上記のデメリットも強まります。「硬いマットレスを柔らかくする」という目的は果たせたとしても今度は違う問題が発生する可能性が高い素材と言えるでしょう。
10〜20年前ならいざ知らず、この現代において性能面で低反発ウレタンを選ぶメリットはほとんどないと我々は考えます。
尚、マニフレックスのエリオセルMFを使用したモデル(スーパーレイなど)は実質的には低反発に近い感触なので、やはり推奨できません。
高反発ファイバー系
ブレスエアーやエアウィーヴ、E-COREなどのポリエステルやポリエチレンでできた高反発ファイバー系の素材は、その特性上、ある程度硬く仕上げなければマットレスとして成立しないため、体圧分散性が低いという特徴があります。これはつまり「硬いマットレスを柔らかくする」というそもそもの目的を果たせないということです。
仮に柔らかく仕上げようとすると、密度を下げるか、糸を細くすることになるので、耐久性が低下します。枕に使う程度ならさほど問題ありませんが、体重が40キロ程度の軽めの人でも、お尻だけで20キロ近く重さがありますから、この重さを長期にわたって支え続けようと思うとソフトな高反発ファイバー系は厳しいものがあります。
柔らかめと表記されていても、実際の寝心地は案外硬めに仕上がっているのはこのためですね。
蒸れ感を減らしたいという一点勝負なら高反発ファイバー系もアリですが、体圧分散性と背骨の支持性を同時に求めたいのなら高反発ファイバー系は限界があります。
高反発ウレタン系
有名どころでは西川のAiRポータブルがあります。こういった商品は硬めのウレタンにプロファイル加工を施すことで、表面のタッチをソフトに仕上げたものです。低反発ウレタンとは違い、寝返りはしやすいのですが、密度がそれほど高くないので値段の割にヘタリが早いという問題があります。そして肝心の体圧分散性もそれほど高くはないため、やはり「硬いマットレスを柔らかくする」という目的には合致しません。
ただ高反発ウレタンという言葉は、非常に範囲が広く、全てを一括りにすることができません。低反発ウレタンの場合は反発弾性が15%未満のものという定義がありますが、高反発ウレタンには明確な定義がないからです。(定義のある低反発でさえも実際の感触はモノによって大きく違います)
そのため反発弾性が20〜30%程度のものでも高反発ウレタンと表現されますし、50%以上のものでも高反発ウレタンと言えます。尚、JIS規格では反発弾性が15%以上〜50%未満のものを一般フォーム、50%以上のものを高弾性フォームと定義していますが、高反発という定義はありません。(もし認識が間違っていたらご指摘頂けると幸いです)
またウレタンの使用感は反発弾性だけでなく、密度(デンシティー)とニュートン値によっても大きく変わってきますので、高反発ウレタンという表現だけでは詳しいことは何も分かりません。
回りくどい言い方になってしまい恐縮ですが、高反発ウレタンの中にもAiRポータブルのように「硬いマットレスを柔らかくする」という目的に合致しないものもあれば、バッチリ合致するものもあるとご理解ください。
天然ラテックス系
純度の高い天然ラテックス(ゴム)素材を使用したオーバーレイ(トッパー)は、柔らかさと反発性のバランスが非常によく、寝心地的には文句なしです。当店も天然ラテックスを使用したマットレスは多数販売しております。
ですがオーバーレイとなると話は別。一般的にラテックスのオーバーレイは、本格的な厚みのあるラテックスマットレスとは違い、薄手のニット生地やブロード生地の中に芯材が直接包まれています。マットレスに使用するようなきちんとした側生地を使用すると価格が一気に跳ね上がってしまうので、価格を抑えるために簡易的な生地で覆っているというわけですね。(それは当店のソフトフィットオーバーレイも同様です)
ここが懸念点です。
ラテックスという素材はウレタンに比べて圧倒的に紫外線に弱いため、光が当たると劣化が進み、乾燥した食パンのように表面が硬くなります。(マットレスの場合はある程度側生地で対策されています)
この時点でモチモチとしたラテックスの寝心地は失われていくのですが、さらに傷みが進むとラテックスがボロボロと粉状に崩れ、それが生地から出てくるようになります。何年で劣化するかというのは難しい問題ですが、日当たりによっては数ヶ月〜1年程度でこういった状態になってしまうこともあります。またラテックスは湿気にも弱いので、湿気の多い環境もこうした劣化を招きやすくなります。
もしラテックス系のオーバーレイを使用する場合は、この点にご注意ください。
快眠屋が選ぶ現在のベストは?
このようにどういった商品も満足がいくレベルではなく、「他に選択肢がないんだから仕方ないよね……」と消去法で比較的マシなものを販売するといった手法を取らざるを得ませんでした。(それゆえかつてはオーバーレイというジャンルの商品自体を積極的にオススメすることはありませんでした)
ですがとあるウレタンフォームに出会うことでこの状況が一変します。
そのウレタンこそが当店のソフトフィットオーバーレイに使用している、新世代の超高密度・長高弾性のウレタンです。写真では何の変哲もない白いスポンジに見えますが、完全なる別格品。
ソフトフィットオーバーレイは「硬いマットレスに悩んでいるけど、買い替えまではちょっと。。。」という方に胸を張ってオススメできるオーバーレイです。
超高密度・超高弾性のソフトフィットオーバーレイ
圧倒的な点弾性をもつこのウレタンフォームは、低反発並みにソフトで高い体圧分散性を持ちながらも、低反発のように身体がはまり込んで寝返りがうてないという問題が全くありません。むしろその弾力性のおかげで一般的な高反発マットレスよりも寝返りがスムーズなくらいです。
高反発ウレタンの部類には入りますが、世間一般でイメージされるところの高反発ウレタンとは全くの別物です。
しかもソフトなウレタンほど耐久性が低い(変形しやすい、硬さが低下しやすい)という法則があるにも関わらず、このウレタンは密度が75kg/㎥と大手メーカーが使用しているウレタン(30〜40kg/㎥)の2倍の数字を誇る上に、点弾性が異常に高いことで、「ソフトでありながらも圧倒的な耐久性を持つウレタン」に仕上がっています。
一般の方にはなかなか理解してもらえないことかもしれませんし、寝具業界の人間ですらもこの凄さが分かる人は少ないと思いますが、これはもう本当にすごいことでして、このことに比べれば「オープンセル構造」だとか、「高吸湿性ウレタン」だとかという本来なら主役級の性能も瑣末なことです。
また、光で硬くなったり、表面がボロボロと崩れることもありません。
この極上のウレタンフォームを使用した商品が、ソフトフィットオーバーレイです。こちらの商品はマニフレックスやAiR、エアウィーヴ、シモンズなどのマットレスを買ったものの、思ったよりも硬くて身体が痛いという方に大変ご好評をいただいております。
※2022年5月までは33mm厚のタイプしかなかったので、単に「ソフトフィットオーバーレイ」と呼称していましたが、今回50mm厚タイプを開発したことで、2022年7月からはソフトフィットオーバーレイ33とソフトフィットオーバーレイ50というように末尾の数字で厚みを区別していきます。
マットレスに適したウレタンはヨーロッパに先進的なものが多いのですが、ここまでハイレベルなウレタンは僕が知る限りヨーロッパでにも見たことがありません。ヨーロッパにも高弾性ウレタンはありますが、フラッグシップモデルでも密度は50〜60kg/㎥です。(低反発系ウレタンなら70kg/㎥のものもあります)
現状、これより性能的に優れたものはないと言っても過言ではないでしょう。
※ソフトフィットオーバーレイの詳細は下記リンク先にてご覧いただけます。
モデル246の体圧分布データ
モデル246+ソフトフィットオーバーレイ33の体圧分布データ