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I様ダウナ羽毛布団リフォーム前

羽毛布団リフォーム事例[兵庫県I様]|3年使用したクイーンサイズの大塚家具ダウナの吹き出しが気になるのでリフォームしたい

諸般の事情でバタバタした日々を送っておりまして、情けないことにブログの更新が隔週どころか隔月ペースになってしまっております。。。また一昨日にワクチン(2回目)を打ったのですが、副反応の影響で昨日はおやすみを頂いてしまいました。ひょっとすると今後もメールやLINEの返信が遅れたりなどご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが、できるかぎり遅延なきよう努めますので、ご容赦くださいますと幸いです。

I様ダウナ羽毛布団リフォーム前

さて今回も前回と同様、大塚家具「ダウナ」のリフォーム事例紹介です。

ご依頼くださったのは兵庫県のお客様(I様)で、当店のブログやウェブサイトがきっかけでご縁を頂きました。ありがとうございます。

※遠方にお住まいで羽毛布団のリフォームをお考えの方はこちらのページをご覧ください。

(ダウナの過去のリフォーム事例については以下のYouTube動画、ブログにてご覧いただけます)

わずか3年でI様がリフォームを考えられたワケ

I様ダウナ羽毛布団リフォーム前

今回のダウナはI様が2018年に購入されたものです。

購入当初から羽毛やファイバーの吹き出しが目立つように感じたため、大塚家具さんに一度診てもらったそうです。しかし大塚家具さんの回答は「問題なし」というものだったようで、我慢してそのまま使い続けておられました。

ところが3年が経過し、掛布団カバーを通り抜けてファイバーが出てくるようになり、リビングにも羽毛が舞うようになってきた…。流石にこれでは……。ということで今回私どもにご連絡をくださいました。

I様ダウナ羽毛布団リフォーム前

そもそもダウナは吹き出しが起こりやすい羽毛布団

大塚家具ダウナリフォーム前

一般的に羽毛布団の生地は、羽毛の吹き出しを防ぐためにできるだけ高密度に織り上げる=打ち込み本数を増やすのがセオリーですが、ダウナの生地は羽毛布団の生地でありながら比較的打ち込み本数が少なく、密度が粗めです。

具体的に数字を挙げると、ダウナの打ち込み本数が295本であるのに対して、当店が扱う日本製のソフトバティスト生地は351本、バティスト生地は320本となっています。(ダウナと同じドイツ製のプレミアムバティスト生地であっても348本です)

ダウナに採用されている平織の生地はサテン織の生地に比べて羽毛が吹き出しにくいという特徴がございますが、この糸の太さでここまで打ち込み本数が少ないといくら平織の生地でも羽毛の吹き出しは避けられません。またダウンプルーフと呼ばれる羽毛の吹き出し防止加工も弱めにかけられていますので、ある意味羽毛が吹き出して当然の生地とも言えます。

(欧州では「羽毛布団は吹き出すのが当たり前」という感覚ですのでこういった生地でも特に問題なく成立します)

当店でもダウナとはまた別のドイツ製平織生地(プレミアムバティスト)をオススメしていますが、この生地もダウナほどではないにせよ低〜中級ランクの不純物の多い羽毛と組み合わせるとやはり吹き出しの問題が起こるため、この生地を使用する場合はトップクラスの羽毛しか組み合わせないようにしています。

このようにドイツ製の平織生地は日本の一般的な生地に比べると軽くて蒸れにくく、平織にもかかわらず風合いが柔らかいというメリットはあるものの、その反面吹き出しというデメリットもありますので、これらの特徴を十分にご理解頂いた上でご検討いただくことをオススメいたします。

(ただしわずか3年の使用でここまで羽毛が吹き出しているというのはかなり珍しいケースです。その理由は後述します。)

リフォーム前の状態

  • [サイズ]220×210cm
  • [キルト]6×5マス立体
  • [羽毛]ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%
  • [充填量]1000g
I様ダウナ羽毛布団リフォーム前
I様ダウナ羽毛布団リフォーム前
I様ダウナ羽毛布団リフォーム前
I様ダウナ羽毛布団リフォーム前
I様ダウナ羽毛布団リフォーム前
I様ダウナ羽毛布団リフォーム前

I様がお使いになっていたダウナは冬用ではなくやや薄手の春秋用です。しかしそのことを考慮しても、使用年数の割にはボリュームがない印象です。(失礼な物言いで申し訳ございません。)

そこでI様にさらに詳しくお話を聞くと、お住まいがマンションということもあって春秋だけでなく夏も冬も一年中使用されていたそうです。同じ3年でも春秋だけ使用するのと、一年中使用するのとでは布団へのストレスが違いますから、それを聞いて少し合点が行きました。がしかし、それ以上に納得のいく理由がございました。

といいますのも、I様がダウナを購入した時に大塚家具の店員さんから「天日干しは不要」「朝起きたら布団の湿気を飛ばすように手で圧縮し、そのあと空気を含ませるように布団をバサバサ振るように」と言われたということなんです。そして購入してから1年ほどはそのようにお手入れをされていたということでした。(このお手入れをしていたら羽毛の吹き出しがどんどん酷くなってきたので途中でやめられたそうな)

羽毛布団は天日干しが必要

いろんなお考えがあるかと思いますが、私どもとしては大塚家具さんの説明はどちらも間違いと申し上げたいところです。

日本の気候の場合、羽毛布団は天日干しをしないとなかなか羽毛の湿気が飛んでいきません(布団乾燥機でも代用可能です)。陰干しを続けていると汗や皮脂が羽毛にこびりついて、ヘタリが早くなります。またリフォームをしても羽毛のパワーが戻りにくくなってしまいます。できれば掛布団カバーを掛けた状態で、2週間に1度を目安に天日干しをしていただくことをオススメいたします。時間は片面1〜2時間程度で結構です。

羽毛布団は圧縮してはいけない

また頻繁に布団を圧縮していたらダウンボールがあっという間にボロボロになり、ファイバー(ホコリ)が量産されてしまいます。(この布団を圧縮して空気を入れ替えるという方法は過去にNHKでも推奨されていたような記憶がありますが絶対におやめください)

I様がこのお手入れを1年でおやめになったのはどんどん羽毛の吹き出しがひどくなってきたからということですが、それもそのはず、このやり方では逆にゴミを増やしているようなものです……。

これは生地に関しても同じことが言えます。特にダウナのようにデリケートな生地をこのように圧縮してしまうと織り目がどんどん緩んでしまいますので、当然それに伴って羽毛やファイバーが吹き出しやすくなります

羽毛を抜き取ってみると

I様ダウナ羽毛布団リフォーム前

こちらがI様のダウナから取り出した羽毛です。やはり布団の見た目からも想像できるように、羽毛もクタっとつぶれかけています。

I様ダウナ羽毛布団リフォーム前

新品の羽毛と比べると立体感が失われていることがよくお分かりいただけるはずです。

I様ダウナ羽毛布団リフォーム前

こちらはそれぞれ2.0グラム同士で比較した写真です。やはり同じ2.0グラムでもボリュームに大きな差がございます。

最初にご相談を頂いた時は「3年前後の使用なら羽毛の詰め替えだけで対応できるかもしれない」と考えていたのですが、羽毛の状態を踏まえるとそれだけではなかなか厳しそうです。そこでI様とのご相談の上、きっちりと羽毛を洗浄・除塵(プレミアムダウンウォッシュ)した上でリフォームをさせていただくことになりました。

リフォーム後

  • [サイズ]220×210cm
  • [キルト]6×5マス立体
  • [充填量]1050g
  • [生地]ソフトバティスト
  • [補充羽毛]ポーランド産プレミアムマザーグース95% 250g
I様ダウナ羽毛布団リフォーム後
I様ダウナ羽毛布団リフォーム後
I様ダウナ羽毛布団リフォーム後
I様ダウナ羽毛布団リフォーム後
I様ダウナ羽毛布団リフォーム後

こちらがリフォーム後の状態です。

少し布団の置き場所が違いますが、リフォーム前と見比べるとふっくらとボリュームが復活しているのがお分かりいただけると思います。

I様ダウナ羽毛布団リフォーム前I様ダウナ羽毛布団リフォーム後

I様のダウナから取り出せた羽毛は約1030グラム、洗浄・除塵後に残った羽毛は約800グラムでした。100%全ての羽毛を取り出すことはできないので、おそらく元々は1050グラムほど羽毛が入っていたのではないかと思われます。

そこで残った800グラムの羽毛に、ダウナの羽毛と同等以上のポーランド産プレミアムマザーグース95%を250グラム追加し、1050グラム入りの羽毛布団としてリフォームを仕上げました。

またI様は吹き出しに悩まされてはいたものの、ダウナの軽くて蒸れにくい点は気に入っておられましたので、ダウナの生地をややマイルドにした日本製の生地(ソフトバティスト)を使用させて頂きました。ダウナよりも打ち込み本数を増やしておりますし、ダウンプルーフ加工も若干強めに掛けておりますので、こちらの生地であれば格段に吹き出しリスクは軽減できます。流石にダウナ並みの柔らかさと通気度は出せないものの(再現しようと思うと吹き出しは不可避です)、軽さはダウナ以上ですから掛け心地も気に入っていただけるかと思います。

I様、この度は当店にご相談いただき誠にありがとうございました。今後ともメンテナンス等いつでもご相談ください。よろしくお願いいたします。

ダウナのリフォームをお考えの方へ

ご存知のようにダウナは日本の一般的な羽毛布団とはコンセプトを異にする羽毛布団です。日本の羽毛布団が「できるだけ羽毛の吹き出しを抑えること」に重きを置いているのに対して、ドイツ製のダウナは「羽毛の吹き出しは些細な問題で、それよりも快適性をとにかく追求している」というイメージです。

したがってダウナのリフォームを考える場合は、どういったコンセプトでリフォームを行うかが非常に重要になってきます。

  1. 軽さや蒸れ感が低下してもいいから、とにかく羽毛が出てきにくい布団にリフォームして欲しい
  2. ダウナの掛け心地を気に入っていたから、とにかくダウナと同じような布団にリフォームして欲しい
  3. ダウナの掛け心地をある程度残しつつも、ダウナより羽毛が出てこない布団にリフォームして欲しい

これら1〜3のうちどのコンセプトをお選びになるかによって、私どもからの提案内容が変わってまいりますので、ダウナのリフォームをお考えの方はぜひお気軽にご相談ください。

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