新しいムアツふとん(20年ムアツ)が体験可能です
目次
2023春にムアツふとんがリニューアル
ムアツふとんといえば1969年に発売された高機能ウレタン敷布団の元祖です。国内でムアツふとんの影響を受けていないウレタン系敷布団は存在しないと言っても過言ではありません。いわば敷布団のレジェンド的存在ですね。
そんなムアツふとんも時代に合わせて少しずつ改良されていきましたが、今年の春に大きくリニューアルされ、ラインナップが新しくなりました。
新モデルのうち現在当店でお試し頂けるのは、20年ムアツProレギュラーと20年ムアツXX(ダブルエックス)の2種類です。(見た目はほぼ一緒)
- 20年ムアツProレギュラー 104,500円(税込)〜
- 20年ムアツXX(ダブルエックス) 198,000円(税込)〜
※床に直接敷いて使うのが基本ですが、上の写真のようにベッドスタイルで使用することも可能です。
Proレギュラーもダブルエックスも高弾性ウレタンを使用したモデルで、特にフラッグシップモデルのダブルエックスは3層全てに高弾性ウレタンを使用しています。我々が知る限り、大手メーカーの敷布団で全てが高弾性ウレタンというのはこのダブルエックスが初のはず。(Proレギュラーは上層のみ高弾性ウレタン)
ムアツを作っている昭和西川は以前より高弾性ウレタンを使ったモデルを出していましたから、そのうち高弾性ウレタン100%のモデルも出してくるだろうとは思っていましたがついに出てきましたね。もうちょっと安かったらもっと嬉しかったんですけどね。
最初名前を見た時は「20年?なにそれ?」と思いましたが、20年の使用に耐えるレベルの耐久性が由来だそうです。なるほど。ただこれだと20周年記念モデルかな?と誤解されそうなので「20年耐久ムアツ」の方が訴求力があったかも。(露骨感とダサさは否めませんけど・・・)
ある程度経験を積んだ業界関係者なら試験上の耐用年数と実際の耐用年数は一致しないことはよくお分かりかと思いますが、名前に20年と付けるくらいですから昭和西川もかなり自信があるんでしょう。20年は流石に眉唾ですけれど、ある程度肉厚なウールベッドパッドと組み合わせた上で、芯材のローテーションを定期的に繰り返せば10〜15年はそれなりにいい感じに使えるはずです。
高反発ウレタンと高弾性ウレタンは違う
ウレタンはよく低反発と高反発に分けられますが、実は高反発という言葉には明確な定義がありません。
JIS規格で区別されているのは、低反発ウレタンと一般ウレタン、そして高弾性ウレタンの3種類だけ。よって売り手側が高反発と言い張ればどんなものでも高反発で通ってしまうという問題があります。(我々もお客様にとって分かりやすいようにという名目で高反発という言葉を使っているので共犯なのですが、、、)
※JIS規格では反発弾性が15%未満のものを低反発ウレタン、15%以上50%未満のものを一般ウレタン、50%以上のものを高弾性ウレタンと区別します。高反発というワードはありません。
本来なら高弾性ウレタンのことを高反発ウレタンと呼ぶべきです。がしかし、現実はそうなっていません。それどころか高反発ウレタンとして販売されているマットレスのほとんどが一般ウレタンに該当します。一般ウレタンに比べて高弾性ウレタンは高価なのでそう簡単に採用できるものではないからです。
敷布団・マットレスの素材としては総合的に高弾性ウレタンが有利
高弾性ウレタンの中にも硬いものや柔らかいもの、密度が高いものや低いものがありますから高弾性ウレタンならなんでもいいというわけではありません。ですが体圧分散性と寝返りのスムーズさを両立させようと思うと「基本的には高弾性であるほど有利に働く」ため、高弾性ウレタンが使用されている時点で他のマットレスに対して優位性が生まれます。
例えば、体圧分散性を上げるためには柔らかさが必要ですが、反発弾性が低いと身体がハマり込んでしまい、その状態から寝返りをうつにはかなりの力が入ります。低反発マットレスがその典型です。一方で寝返りをスムーズにするために身体が沈まないようにウレタンを硬めにすると体圧分散性が低下し、血行不良が起こります。いわゆる世間一般の高反発ウレタンマットレスや、高反発ファイバーマットレスがそれに該当します。
その点、高弾性ウレタンであれば「柔らかいのに反発がある」という矛盾するような特性を持たせることもできるので、体圧分散性とスムーズな寝返りを高いレベルで両立させることが可能です。(硬い高弾性ウレタンの場合は当てはまりません)
またウレタンの耐久性は密度(kg/㎥)で決まると言われていますが、反発弾性にも影響を受けます。仮に全く同じ密度だとすると、反発弾性が高くなるほど耐久性が高くなり、反発弾性が低くなるほど耐久性が低下します。低反発ウレタンが高密度の割にヘタリやすいのは、反発弾性が低い(15%未満)からというわけですね。
こういった諸々を踏まえますと、寝心地の好き嫌いは別にして「予算が許すのであれば高弾性ウレタンを使った方が良い」という結論に至ります。
※厳密にはウレタンの耐久性は「密度」と「反発弾性」と「硬さ(ニュートン)」の三つのバランスで決まります。最も耐久性が高くなるのは、高密度かつ高弾性かつ高硬度の場合で、反対に最も耐久性が低くなるのは、低密度かつ低弾性かつ低硬度の場合です。
密度と硬さは関係ないし、密度と反発弾性も関係ない
よくある誤解は「高密度なウレタンほど硬い」というものです。大手メーカーでも営業マンのレベルによっては「高密度=硬い」と勘違いしているケースがあり、その営業マンから説明を受けた小売店もそのまま勘違いしていることがあります。これは完全なる誤りです。
密度と硬さは別の話。超高密度でも柔らかいウレタンもあれば、低密度でも硬いウレタンもあります。欧州のハイクラスなウレタンフォームの中には50〜60kg/㎥で非常にソフトなものもありますし、我々のソフトフィットオーバーレイも75kg/㎥で40%圧縮時のニュートン値は90Nですからね。
もう一つの誤解は「密度が高いほど反発弾性が高い」というものです。
とある大手欧州製マットレスブランドは反発弾性が非常に低いウレタン(本来なら低反発ウレタンに分類されるはず)のことを「高密度だから反発性が高いんです」と説明していますが、残念ながらこれも誤りです。密度と反発弾性は全くの別物。超高密度の低反発ウレタンのもあります。ただ我々の知る限り、低密度で高弾性というウレタンを目にしたことがないので、高弾性ウレタンの場合は中〜高密度と考えても良いかもしれません。(40〜75kg/㎥くらいが目安ですね)
このように密度と反発弾性と硬さをごちゃ混ぜに理解してしまっている業界関係者も多いのでお気をつけください。
それぞれの具体的な寝心地
20年ムアツProレギュラー
20年ムアツProレギュラーはムアツふとんの中で最もソフトなモデルです。全体の厚みは9cmの三層構造。上層部分のみにソフトな感触の高弾性ウレタンが使用されていて、中層と下層は一般ウレタンが採用されているので比較的軽量です。毎日畳みたいという人にとってはダブルエックスは重いでしょうから、Proレギュラーの方が良いですね。
ただソフトと言ってもウレタン系敷布団の世界(ムアツ以外も含む)ならという括りでの話ですので、体型や寝方によってはこれでもまだ硬すぎる可能性が大いにあります。
具体的には横向き寝がメインの人や、仰向き寝がメインだけれど痩せ気味でウエストのカーブが激しい人には厳しいです。ですがその場合も当店のソフトフィットオーバーレイと併用すれば概ね解決します。ソフトフィットオーバーレイは国内最高峰の高弾性ウレタンで、超高密度(75kg/㎥)かつ超ソフト(90N)な薄型マットレスですので、高弾性マットレスとの相性が良く、重ねて使用しても違和感が全くありません。まるで最初からそう組み合わせるように設計されていたかのようなバランスです。(高弾性ウレタンと低反発ウレタンは相性が悪いので相乗効果が望めません)
20年ムアツXX(ダブルエックス)
20年ムアツXX(ダブルエックス)は、上層、中層、下層の全てが高弾性ウレタンです。ただ高弾性ウレタンという点は同じでも、各層によって硬さや密度が違います。基本的に高弾性になればなるほど耐久性が上がっていくので、寝返りのスムーズさはもちろんとして、三層全てが高弾性ウレタンのダブルエックスは耐久性にも優れています。
先ほどムアツシリーズの中ではムアツProレギュラーが最もソフトと書きましたが、体感上の柔らかさはダブルエックスもそこまで変わりません。ニュートン値的にはダブルエックスの方が少し硬めとなっているものの、高弾性ウレタンと一般ウレタンでは感触が違いますのでその点が影響しているのだと思われます。
仰向き寝がメインで、耐久性が高くて、身体への負担が少なくて、なるべく扱いも楽な敷布団が欲しいという人はこのダブルエックスを選んでおけばかなりの確率で満足できるはずです。
ただ「ナチュールフレックス+ラテックスマットレス」や「ナチュールフォーム+ラテックスマットレス」といったウッドスプリングシステムと比べると身体の凹凸への追従性はどうしても劣ってしまいます。これはムアツが悪いとか、AiRだったら良いとかそんな話では全くなくて、厚みが10cm前後の敷布団の全てに言えることですね。
実際に使用する際はベッドパッドが必要
ムアツは敷布団に分類されますが、実際に使用する際はウールベッドパッドと併用することを強くオススメします。
理由は二つ。
- 寝床内の湿度をカラリと乾燥した状態に保ちたいから。
- ウレタンフォームを汗から守って寿命を伸ばしたいから。
メーカーは「うちのウレタンフォームは通気性抜群!」と言いますが、それはセールストークなので本気にしてはいけません。何も対策を講じずに使用すると蒸れます。それはオープンセル構造のウレタンも同様です。吸湿性と放湿性に優れたウールベッドパッドと併用しましょう。そうすることで蒸れによる不快なストレスも軽減しますし、ムアツ本体の寿命も大きく伸びます。
しばしばムアツのようなプロファイル加工系の敷布団・マットレスは「点で支えるという効果がなくなってしまうから上に敷く敷パッドは薄いものがいい」と説明されますが、点だろうが面だろうが、体圧が分散できていて、背骨のカーブに沿ってフィットしていればどちらでも良いわけです。そんなことにこだわるよりも不快な蒸れ感を減らして寿命が伸びた方が何倍も有益です。
厚みが足りない場合はベースマットで対応可能
ムアツは敷布団タイプのマットレスですから床に直接敷いて使うのが基本ですが、ベッドフレームに乗せて使用しても機能的には何ら問題ありません。ただベッドフレームの高さによっては厚みが9〜10cmのムアツでは低過ぎるということもあるかもしれません。
その場合は写真のようにムアツ専用で用意されているベースマット(別売り)と重ねて使用すれば一般的なベッドマットレスと遜色ない厚みになります。(※シングルサイズで44,000円)
快眠屋ではマットレスフィッター®️がフィッティングします
今回はリニューアルしたムアツふとんの紹介がメインでしたが、全員にムアツふとんがオススメできるかというとそうではありません。
最適な敷布団やマットレスは
- 予算
- 身長と体重
- 身体の凹凸差とその形状
- 主な寝方(仰向きか横向きかうつ伏せか)
- 体質
- 好み
- 生活スタイル
などによって大きく変わってまいります。
快眠屋では特定のメーカー・ブランドに依存せず、深い知識と広い視点を持ってあなたに最適な寝具をフィッティングさせて頂きますので、敷布団やベッドマットレスをお探しの方はぜひお気軽にご来店下さい。