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大塚家具ダウナ羽毛布団リフォーム前

羽毛布団リフォーム|【ダウナDAUNA】大塚家具の羽毛布団を羽毛ふとん診断士がリフォーム[IDC OTSUKA]

ダウナのリフォーム

資料バナー
ダウナのリフォーム作業

大塚家具さんの高級羽毛布団「ダウナ」のリフォームをご依頼いただきました。

ダウナは見た目こそ普通の無地の羽毛布団ですが、日本で一般的に販売されている羽毛布団とは似て非なるものです。そのため、ダウナの特徴、そして日本の羽毛布団との違いを理解せずにリフォームをしてしまうと、リフォーム後に出来上がってきた羽毛布団の掛け心地にガッカリしてしまうかもしれません。今回のエントリーでは、ダウナのリフォーム事例と合わせて、ダウナをリフォームする場合の注意点にも触れていきたいと思います。


詳しい内容はブログで説明していますが、ビジュアル面は動画の方が分かりやすいと思いますので、ぜひこちらも合わせてご覧ください。

【追記】ダウナのリフォームに関する問い合わせが非常に多いので、下記リンク先にダウナの徹底解説ページをご用意しました。かなりの分量ではありますが、こちらをお読み頂けるとダウナのリフォームを検討する上で必要な知識のほぼ全てがご理解頂けるはずです。

(遠方にお住まいで羽毛布団リフォームをお考えの方はこちらのページをご覧ください)

お預かりしたダブルサイズのダウナ

大塚家具ダウナ羽毛布団リフォーム前
大塚家具ダウナ羽毛布団リフォーム前
大塚家具ダウナ羽毛布団リフォーム前

[使用期間]10〜15年
[サイズ]ダブル
[生地]綿100% (平織生地)
[キルト]5×5マス立体
[羽毛]ポーランド産マザーグース95%
[充填量]1240g


こちらがA様からお預かりしたダウナです。サイズはダブル、厚みは冬用です。ある程度年数が経過しているため全体的にヘタリが出て、見た目にもボリュームが失われている感じがお分かりいただけるかと思います。

大塚家具ダウナ羽毛布団リフォーム前

こちらは布団を四つ折りにして高さを測ってみたところです。四つ折り時の高さはおよそ30cm。春秋用としては十分な厚みですが、一般的な冬用の羽毛布団として考えるなら40cm以上は欲しいところですので、やはりヘタリ・劣化は否めません。

大塚家具ダウナ
大塚家具ダウナ

また上2枚の写真のように、いたるところから羽根(フェザー)やファイバー(羽毛のクズ)が出てきています。これは普通の布団にも起こり得ることではあるのですが、ダウナは特殊な生地を使っているので尚更このような吹き出しが起こりやすいのです。

肝心の羽毛の状態は?

大塚家具ダウナ羽毛布団リフォーム前

リフォームをする価値があるかどうかは、布団の外見ではなく主に羽毛の状態で決まります。

例えば「見た目にはボリュームがあるけれども、中の羽毛はフェザーまみれでダウン率70%くらいのものだった」というような場合はリフォームする価値がありません。また品質表示もなかなかあてにならないので厄介です。ダウン95%フェザー5%と書かれていても、フタを開けてみたらフェザーだらけだったというケースも多いのです。

当店の羽毛の見極めにつきましては、下記YouTube動画をご覧ください。

大塚家具ダウナ羽毛布団リフォーム前

さて、こちらがダウナから取り出した羽毛です。とはいえ、単独で見ていてもよく分からないと思いますので、新品の羽毛と比較してみました。左側が新品の羽毛(当店のポーランド産マザーグース95%)で、右側がダウナの羽毛です。どちらも全く同じ2グラムですが、ボリュームが2倍近く違うことがお分かりいただけるかと思います。

そしてこちらが落下スピードや、ケースの中で舞っているゴミ・塵の量を比較したものです。写真で見るよりも、より違いがお分かり頂けるのではないでしょうか。(※GIFなのでかなり荒く、カクついていますが、YouTubeのリフォーム動画をご覧いただくとFHD(1080P)でご覧いただけます)

汗や皮脂が染み込んでいる羽毛ほど落下スピードが速くなり、摩擦でボロボロになっている羽毛ほどケースの中で舞うゴミが多くなります。比べていただければその差は歴然でしょう。やはりダウナの羽毛は劣化が進んでいます。

ダウナ羽毛比較2

1粒ずつ取り出してみても差は顕著です。同じ粒の数で比較していますが、右側の新品に比べるとダウンボールが小さくなっています。

しかしながらある程度上質な羽毛が使われているということを踏まえると、この状態でもリフォームをする価値はあると判断いたしました。経験上、全く同じ洗浄・除塵を施したとしても、やはり成熟している羽毛の方が復元しやすいのです。後ほどダウナの羽毛の洗浄・除塵後をお見せしますが、この状態とは別物と言っていいほどパワーが戻ります。

ダウナをリフォームする上での注意点

最大の特徴はドイツ製の平織生地

ダウナの良さは日本の羽毛布団に比べて「軽くて蒸れにくい」点にあります。なぜ日本の羽毛布団に比べて軽くて蒸れにくいのか?それはダウナにはドイツ製の平織生地が使われているからです。

大塚家具ダウナ

私たちもドイツ製の平織生地で羽毛布団を作ることが多いのでよく分かるのですが、ドイツ製の生地は比較的日本よりも通気性が高い傾向にあります。具体的には日本の生地は通気度が1.0〜2.0cc/sec.㎠(以下ccに略)であることが多いのに対し、ドイツ製の生地は2.0〜7.0ccと非常に大きな差があります。特に綿100%の平織生地は3.0ccより高いことがほとんどで、5.0ccを超えることも珍しくありません。(例えば私どもが販売しているドイツ製プレミアムバティストの通気度は約6.6ccです)

ドイツ出張2019

基本的には生地の通気度が高くなるほど「ジメッとした蒸れ感が軽減」します。ダウナが蒸れにくいのはこのため。

またダウナに使われている平織の生地は、日本で一般的なサテン織の生地に比べて「軽い」という特徴もあります。例えば100番手のサテン生地の場合100g/㎡前後であるのに対し、同じく100番手の平織生地なら85g/㎡前後。

「生地が軽いと羽毛が膨らみやすい」→「少ない羽毛でも布団として十分なボリュームが出る」→「羽毛についても軽量化が図れる」

つまり軽量な生地を使うと、生地自体が軽くなるだけでなく羽毛の量も軽くなり、ダブルで軽量化が進むことになるわけです。

ダウナの生地は88g/㎡ということですから、世界最軽量クラスかというと決してそうではないのですが、日本の羽毛布団リフォームでよく使われている60番手のサテン生地(約140g/㎡)に比べれば圧倒的に軽いのは間違いありません。

こういった違いを考慮せずにリフォームを依頼してしまうと、重くて通気度が低い生地を使った羽毛布団に生まれ変わってしまい、それに伴ってダウナの良さも失われることに。

冒頭で「見た目は同じように見えても似て非なる羽毛布団が出来上がってきてしまう」とお伝えしたのはこのためです。どんな布団に仕上がってもいいというなら話は別ですが、ダウナの掛け心地を気に入っているということでしたらダウナに近い生地を使ってリフォームをすることをオススメします。

デメリットもある

大塚家具ダウナ

しかしダウナの生地もいいところばかりではありません。日本の生地にはないデメリットがあります。それは通気性が高いがゆえに、フェザーやファイバーが生地から吹き出しやすいという点です。

当たり前のことではあるのですが、通気性が高くなればなるほど空気とともに中身も生地を通過しやすくなります。手選別のステッキーマザーグースダウンのようなゴミが少ない最上質の羽毛であれば心配は要らないものの、羽毛の質が下がれば下がるほどゴミが増えていくので、それに伴って吹き出しのリスクも高まります。

快眠屋ではドイツ製の生地で羽毛布団を作る場合は、我々が「この羽毛なら心配ないだろう」と判断したハイクラスの羽毛しか使用しないようにしています

ベストオブポーランドステッキーマザーグース98%

(快眠屋のベストオブポーランド手選別ステッキーマザーグース98%)

しかもダウナの場合は打ち込み本数(生地の密度のようなもの)が少ないので、さらにリスクが高まります。例えば私どもが販売しているドイツ製のプレミアムバティストの打ち込み本数は348本ですが、ダウナの打ち込み本数は295本とのことです。

平織はサテン織にくらべて生地が硬く仕上がりやすいので、その欠点を補うために打ち込み本数をあえて少なくしているのかもしれません。

しかし打ち込み本数が少ないということは生地の織り密度が粗いということ。そうなると経年変化で生地の織り目が緩みやすく、より中身が吹き出しやすくなります。

羽毛同士の絡みが強く、不純物の少ないアイダーダックダウンや、最上級のステッキーグースダウンならそれほど問題にならないのでしょうが、ダウナに使われている羽毛のクラスを考慮するといささか厳しいように思えます。(具体的にはネックフェザーが少し多い印象を受けました)

したがって、ダウナの使い心地にできるだけ近づけつつも、吹き出しは最小限に抑えたいという場合は、通気度と打ち込み本数のバランスをふまえてリフォームに使用する生地を選ぶ必要がございます。

実際のリフォーム内容

ダウナのリフォーム作業

洗浄・除塵でパワー復元

さてA様のダウナに話を戻しますと、今回ダブルの布団から取り出せた羽毛は1200gで、この羽毛が洗浄・除塵後に930gとなりました。こちらが洗浄・除塵前の羽毛と、洗浄・除塵後の羽毛を比較したものです。

ダウナ羽毛比較3
ダウナ羽毛比較2

100%全てのゴミ、不純物を取り除くことはもちろんできないのですが、温水によるプレミアムダウンウォッシュと除塵の効果でパワーがかなり戻っていますね。汗や皮脂でかたまっていた羽毛が、ふっくらと開いているのがなんとなくお分かり頂けるかと思います。

リフォームに使用した生地

お客様とご相談の結果、今回は100番手の糸を使った日本製のソフトバティスト(平織)でリフォームをすることになりました。ざっくりいえば、ダウナの生地を少しマイルドにしたような生地ですね。

羽毛布団用ソフトバティスト生地

日本の生地には珍しく通気度は約3.0ccとかなり高めですが、それでもダウナの生地よりは低めですし、打ち込み本数も351本と十分な密度。この生地ならある程度の通気性を確保しつつ、フェザーやファイバーの吹き出しを抑えることが可能です。また重さについても85g/㎡なのでダウナの88g/㎡と遜色ありません。

リフォームということを考えればベストに近い選択ではないでしょうか。(羽毛の質・状態がもう少し良好ならば、ドイツ製のプレミアムバティストがベストです)

尚、日本製の平織といえば80番手のもの(94g/㎡)もあるのですが、こちらは平織ではあるもののダウンプルーフを強めに掛けているので通気度自体はそれほど高くなく、一般的な綿100%のサテン生地と大きな差はありません。平織だから通気度が高いとは限らないのです。

あとは吹き込むだけ

ダウナのリフォーム作業

羽毛の洗浄・除塵と、生地の縫製が完了すればあとは羽毛を吹き込むだけ。ノズルを入れて1マスずつ丁寧に吹き込みます。両サイドに比べて中央3列は少し多めに羽毛を充填し、傷みやすい部分がより長持ちするように工夫します。(羽毛は空気と共にマスの中に吹き込んでいくわけですが、通気度の高い生地と低い生地とでは空気の抜けが違うんですよね。)

ダウナのリフォーム作業

吹き込みが完了したら、吹き込み口をミシンで縫って終了です。

リフォーム完了

リフォーム後のダウナ

[サイズ]シングル(150×210cm)
[生地]ソフトバティスト (綿100% 、平織生地)
[キルト]5×6マス立体
[補充羽毛]なし
[充填量]930g

こちらがリフォーム後の布団です!と胸を張って写真を沢山お見せしたいところなのですが、動画を撮るのに夢中で写真を完全に撮り忘れてしまいました。。。この写真も動画からの切り出しです。。。仕上がりにつきましては動画をご覧頂けますと幸いです。

また今回A様はダブルからシングルへのリフォームをご希望されていたということもあり、洗浄・除塵後に残った羽毛(930g)だけを使用して仕上げております。そしてキルトは5×6マスとこれまでよりやや細かめに。

これなら吹き出しに悩むこともなく、かといってダウナの掛け心地が大きく損なわれることもなく、また10年快適にお使いいただけることでしょう。

A様ありがとうございました。

まとめ

#ダウナは日本の布団とは似て非なる羽毛布団

#その理由はドイツ製の平織生地を使っているから

#掛け心地を再現するには、吹き出しリスクを考慮しつつ、軽くて通気度の高い生地を使う必要がある

今回はご予算や吹き出しリスクを考慮した結果、できるだけダウナに近い日本製の生地(ソフトバティスト)を使用してリフォームをさせていただきましたが、より羽毛の状態が良ければダウナの生地よりもグレードの高いドイツ製の平織生地(プレミアムバティスト)を使ってリフォームすることも可能です。

リフォームにかかる費用は、どういう内容でリフォームをするかによってかなり変わってまいりますが、ある程度まともなクオリティに仕上げようと考えると5〜8万円前後となります。(ダブルやクイーンサイズの場合はサイズアップ分だけ費用が追加されます)

無料でお見積もり、診断をさせて頂きますので、気軽にお問い合わせください。お問い合わせ方法はお電話、LINE、メールなんでも結構です。

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