羽毛布団リフォーム事例[宮城県I様]13年前に購入した大塚家具ダウナの吹き出しが気になる(シングル2枚→シングル2枚)
快眠屋では三重県内はもちろん、県外のお客様からも羽毛布団リフォームのご相談を多く頂戴しております。遠方にお住まいの方でも安心してリフォームのご依頼を頂けるように写真や動画を交えて1枚1枚丁寧に現状説明をさせて頂いております。布団を直接持ち込めないというお客様もお気軽に電話、LINE、メールでご相談下さい。
※遠方にお住まいで羽毛布団のリフォームをお考えの方はこちらのページをご覧ください。
目次
リフォームのきっかけは吹き出しと保温性の低下
宮城県のお客様(I様)から大塚家具ダウナのリフォーム依頼を頂戴しました。ありがとうございます。
I様のお悩みは主に2点です。
①保温性が低下してしまい、毛布がないと使えなくなってしまった
②ファイバー(羽毛のクズ)の吹き出しがひどく、この冬は喘息になってしまった
①の保温性の低下は全ての羽毛布団に起こり得ることですが、②の吹き出しの問題はダウナ特有の問題です。ダウナは「軽くて蒸れにくいというメリットがある一方で吹き出しが極めて起こりやすい生地」を使用しているので、I様のように吹き出しで悩んでいる方が沢山おられます。実際に当店にダウナのリフォームを依頼される方のほとんどがファイバーの吹き出しがきっかけとなっています。
この場合、吹き出しが起こらないようにリフォームするだけなら容易いことですが、ダウナをお使いの方は「吹き出し以外の面ではダウナの掛け心地を気に入っている」というケースがほとんどですので、ダウナをリフォームする際は「吹き出しを抑えつつ、どこまでダウナの掛け心地を再現できるか?」ということを意識してリフォーム内容を決定する必要があります。
尚、ダウナの概要と、ダウナのリフォームについては下記リンク先のページで詳しく解説しておりますので、ダウナのリフォームをご検討されているお客様はまずはこちらのページをご覧頂けますと幸いです。
<過去のダウナのリフォーム事例を一部ご紹介>
リフォーム前の状態
ダウナその1
ダウナその2
[メーカー]大塚家具
[サイズ]155×210cm(実寸150×200cm前後)
[側生地]綿100%
[キルト]4×5マス立体キルト
[羽毛]ポーランドマザーグースダウン95%
[充填量]1050g
こちらの2枚がI様が送ってくださったダウナです。サイズはいずれもシングルで、厚みはいわゆる冬用ですね。品質表示には155×210cmと書かれていますが、実際には150×200cm前後しかないところもこれまで我々がリフォームしてきたダウナと同様です。
事前に保温性がかなり低下していると伺っていたので、かなりヘタリがあるのかなと予想していたのですが、到着したダウナを見た第一印象はどちらも「あれ?そんなに傷んでないな?」というもの。
吹き出しに関しては確かにI様がおっしゃるようにすごい状態だったのですが(I様はカバーを二重にして使っていたようです)、新品時と全く同じとはいきませんが、保温性が大きく低下しているかというとそんなことはなさそうです。現状で大いに物足りなさを感じるということならリフォームで新品当時の暖かさに戻していくだけでは不十分で、新品当時よりもさらに保温性が高まるようにリフォームをする必要があります。
羽毛の状態を確認
いつも通り布団から羽毛を抜き出して状態をチェック。
左が当店の新品で、中央がダウナその1、右がダウナその2です。新品と比較すると衰えはあるものの、やはりそこまで致命的なパワーダウンはありません。この状態なら間違いなくリフォームすべきですね。
洗浄・除塵結果
【取り出し羽毛量】
◆ 約1050g
◆約1070g
ダウナを解体して取り出せた羽毛は1050gと1070gでした。布団内部の生地やマチ布にこびりついた羽毛は取り出すことができないので、実際にはこれ以上の羽毛が入っていたことになります。品質表示には1050gと記載されていましたが、おそらく1100gほど羽毛が入っていたのではないかと思われます。
【洗浄・除塵後の羽毛量】
◆ 約1900g
そしてプレミアムダウンウォッシュ(洗浄・除塵)後の羽毛量はおよそ1900gとなりました。-11%ですのでかなり優秀な目減り率です。(15〜25%に収まることがほとんどです)
リフォーム後
- [サイズ]150×210cm
- [キルト]変形5×5マス立体
- [充填量]1100g (このうち新羽毛は150g)
- [生地]ソフトバティスト
※上記仕様の羽毛布団を2枚仕上げています
こちらがリフォーム後です。
表記サイズだけを見るとリフォーム前よりも小さくなっていますが、ダウナは表記サイズよりも実際のサイズの方が小さいので、実際のサイズはリフォーム前よりも若干大きくなっています。(日本の一般的なシングルロングサイズ150×210cmで仕上げています)
ダウナをリフォームする上で最も重要な生地は「ある程度通気性を確保しつつ、吹き出しを防ぎたい」というI様のご要望でソフトバティストを使用しました。ダウナと同じ綿100%の平織生地ですが、通気性は日本の一般的な生地とダウナの生地のちょうど中間くらいに位置しています。まさに低すぎず、高すぎずです。
ダウナよりもかなり打ち込み本数が多いので、本来ならダウナよりも重くなってしまうところなのですが、ダウナよりも細い糸を使っているのでむしろダウナよりも軽いです。また強度も上ですね。
ただし打ち込み本数が多いということは生地のしなやかさを失うということでもあるので、「羽毛の吹き出し上等!打ち込み本数なんてそこそこでええんや!」のダウナと比べるとややしなやかさに欠けます。そこだけご容赦ください。
羽毛の場合はお金さえ出せば完璧なものが手に入りますが、生地は全てがパーフェクトということは絶対にあり得ないので、何かを優先すると必ず他の何かが犠牲になります。生地選びとは「何を優先し、何を犠牲にするか」を選ぶ行為です。
例えば、しなやかさを最優先し、軽さと通気性はそれほど求めないという場合は平織よりもサテン織の生地が適しています。
平織もサテン織もそれぞれメリット・デメリットがあります。また織り方は同じだったとしても、糸番手や打ち込み本数、ダウンプルーフの強弱によって最終的な生地としての使い心地は変わってきます。それらを俯瞰で正しく理解することが大切です。
新たに補充した羽毛はポーランド・プレミアムマザーグース95%です。厳密な意味での最上級品ではありませんが、ダウンボールが大きく、密度が高く、ファイバーの混入が少ない極めて良質な羽毛です。1枚あたりの補充量は150gです。
I様といろいろやり取りを重ねた結果、肝心の暖かさについては新品当時から大幅に保温性アップを図ることはしませんでした。毛布が必要ないレベルまで暖かさを増すことも可能ですが、そうなると今度は春秋の使い勝手が悪くなるからです。1枚で幅広いシーズンに対応しようと思うと分厚くしすぎるのも考えものです。
I様、この度は当店にご縁をいただきありがとうございました。
今後のメンテナンス等もお任せください!どうぞよろしくお願いいたします。
最近はインスタグラムの投稿が多めです。ブログほど濃い内容ではありませんが、フォローして頂けると喜びます。
また先日羽毛布団リフォームに特化したインスタグラムアカウントを解説しました。そちらもご覧いただけますと幸いです。